2月1日妥当レンジ 20,500円~22,300円
目先のポジティブ材料は出尽くしたか?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<パウエル議長の大盤振る舞い>
■29-30日の米FOMCでは、声明文から定番文句であった「先行きは段階的な利上げが正当化される」が削除され、新たに「政策金利の調整を様子見する」と盛り込まれた。記者会見でパウエル議長は、保有資産の縮小も「修正する用意がある」と明言した。追加利上げを棚上げする考えを示すと同時に、資産縮小の打ち止めについても早まる可能性が示され、市場の期待に対して満額以上の回答となった。
■1日発表のISM製造業景況指数(1月)は前月から2.5ポイント上昇し、56.6となった。同日発表の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月分(12月)が速報値の+31.2万人から+22.2万人へと下方修正されたが、1月は前月比30.4万人増と市場予想(+16.0万人)を大幅に上回った。FRBが引締め姿勢からの転換を示すとともに米国経済の底堅さが確認されたことから、NY株式市場(NYダウ)は終値で25,000ドルを奪還した。
■中国製造業PMI(1月)は、国家統計局発表分(1/31)が49.5と前月から0.1ポイント回復したものの、財新・マークイット発表分(2/1)は48.3と前月から1.4ポイント悪化した。
■30-31日の米中閣僚級通商会議は、中国が米国からの輸入を増やすことが明確になったものの、知的財産権保護など構造改革の工程表については具体的な内容は報道されていない。トランプ大統領は最終合意を目指して習近平国家主席と再び会談をする方針を示しているが、不透明感は依然として残る。
■今週は5日にトランプ大統領の一般教書演説が予定されている他は、目立ったイベントや統計発表はない。そのため発表される企業決算を睨みながらの展開が予想される。FRBの満額回答などで市場がやや楽観的状態にあるだけにリスク要因には敏感に反応する可能性も考えられる。
<「コンセンサスDI」は50割れが続く>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、前週比で来期・再来期がマイナス。マイナス企業群では半導体や電子部品関係が目立った。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は、全期間で50を下回る状態が続いている。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
20,500円~22,300円 | (前回20,600円~22,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月1日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月1日)
今期予想EPS | 1368.29円 | (前週 1366.48円) |
来期予想EPS | 1484.33円 | (前週 1491.03円) |
再来期予想EPS | 1537.72円 | (前週 1543.72円) |
今期予想PER | 15.19倍 | (前週 15.20倍) |
来期予想PER | 14.01倍 | (前週 13.93倍) |
再来期予想PER | 13.52倍 | (前週 13.46倍) |
来期予想PBR | 1.05倍 | (前週 1.05倍) |
来期予想ROE | 7.49% | (前週 7.53%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.40% | (前週 7.42%) |
2月1日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
来期予想ベースのプラス企業比率は、 33.3%→28.4%→30.5%→40.2%→42.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、11.1%→30.5%→45.7%→36.3%→37.9%。
低水準続く。想定よりは確りしていると見るべきか。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |