10月19日妥当レンジ 22,600円~24,500円
サウジへの制裁発動によってはさらに下押しも
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<リスク要因は一段と増加>
■先週は、米国住宅統計が市場予想を下回ったこと、中国の経済減速の兆候が統計発表によって明確化しつつあること、FOMC議事録(9月25-26日分)で利上げ積極派の存在が示されたこと、サウジアラビアの反体制派ジャーナリストの殺害に対する疑念、米国が旧ソ連と結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明したこと、などが株価の下押し要因となった。17-18日のEU首脳会談では、イタリアの予算案については妥協点が見出せず、また英国の離脱に関しても解決策が描けず、最終期限をクリスマスまで先延ばしすることとなった。
■中国国家統計局が19日に発表した7-9月期の実質GDPは前年同期比で年率+6.5%と4-6月期(+6.7%)から減速、市場予想(+6.6%)も下回った。9月の鉱工業生産も前年同月比+5.8%と8月(+6.1%)から低下した。米国の中国への制裁関税第3弾が発動されたのは9月24日からであり、駆け込み生産(輸出)等が生じていたことを考慮すれば、10月以降の経済統計は一段と厳しくなることが予想される。中国製造業PMI(10/31)、中国財新製造業PMI(11/1)の発表も要注意。
■今週は、ECB理事会(25日)の他、各国中銀の金融政策決定会合が開かれる(23日:インドネシア、24日:スウェーデン・カナダ、25日:ノルウェー・トルコ、26日:ロシア)。特にトルコは追加利上げが行われるかを見守りたい。
■本日(23日)、トルコのエルドアン大統領がサウジの記者殺害に関する発表を行う予定。発表内容によっては、サウジへの制裁に発展する可能性もあり、警戒が必要である。
<「コンセンサスDI」は8週ぶりに全期間50%以上>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は、若干ながら今期及び再来期がプラスであった。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は、8週ぶりに全期間で50%以上となった。2Q決算での上方修正を期待した動きと思われるが、10月以降に中国経済の減速が強まることを考慮すれば、本格的なプラストレンドになるかは疑わしい。リバウンド局面は今後もあると考えるが、基本的には下押し圧力の強い展開が続くと考える。(先週の数値に関して若干補正修正を行った)
◇日経平均妥当水準(レンジ)
22,600円~24,500円 | (前回22,700円~24,500円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月19日)
今期予想EPS | 1409.50円 | (前週 1409.48円) |
来期予想EPS | 1585.48円 | (前週 1585.54円) |
再来期予想EPS | 1631.38円 | (前週 1630.34円) |
今期予想PER | 15.99倍 | (前週 16.10倍) |
来期予想PER | 14.21倍 | (前週 14.31倍) |
再来期予想PER | 13.81倍 | (前週 13.92倍) |
来期予想PBR | 1.15倍 | (前週 1.15倍) |
来期予想ROE | 8.10% | (前週 8.04%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.63% | (前週 7.58%) |
10月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
一時的にリバウンドの可能性もあるが、10月分の中国統計の発表には要注意。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 47.7%→50.0%→42.4%→42.0%→53.9% 。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.4%→44.7%→49.4%→54.9%→52.3% 。
全期間で50%以上になったのは8/24以来8週ぶり。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |