9月28日妥当レンジ 23,600円~25,600円
株価は目先的には、米景気→米利上げ→円安に反応か?

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<5日の米雇用統計で円安も、次第に明確になる中国失速>
■米FOMC(9/25-26)は、事前の予想通りFFレートの誘導目標レンジが引き上げられた。注目されたFOMC参加者の経済・金利見通しの変更は限定的であり、利上げ回数も18年4回、19年3回、20年1回で変更は無かった(21年は利上げを見込まず)。
■26日の日米首脳会談において、2国間の「物品貿易協定」(TAG)の交渉開始で合意。協議中は自動車への追加関税を発動しないこと、農産物の扱いについては、TPPの行為水準を上限にする日本側の方針を伝えた。米国の貿易促進権限法(大統領は新たな通商交渉の開始90日前まで議会に通知)により、本格交渉は年明けになると見られ、今しばらくはリスク顕在化が回避される形となった。
■30日発表の中国製造業PMI(9月)は、国家統計局発表分(50.8:前月比▲0.5Pt)も財新/マークイット発表分(50.0:同▲0.6Pt)も前月から悪化した。米国による制裁関税の影響が表れつつある。両者ともに「輸出向け新規受注」の減少が顕著。また、人民元安や資源価格上昇などから投入価格が上昇しており、企業の採算悪化や雇用が懸念される。今後の中国の統計発表は、12日:貿易統計、16日:卸売物価指数・消費者物価指数、19日:7-9月期GDP、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資。
■1日発表の日銀短観では、業況判断DIが大企業製造業において3回(四半期)連続して低下したが、まだ十分に高い水準にある。米国指標発表(1日:ISM製造業景況指数、3日:ISM非製造業景況指数、5日:米雇用統計)が好調であればドル高・円安に振れる可能性もあり、短期的には株価をもう一段押し上げる可能性もある。しかし、中国経済の失速が次第に明確になることで、楽観的なセンチメントは長くは続かないと考える。

 

<「コンセンサスDI」は5週連続で再来期が50%割れ!>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は、全期間でマイナス。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は来期が50%イーブンであったが、今期・再来期は50%割れ。再来期は5週連続で50%を下回った。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

23,600円~25,600 (前回23,500円~25,400円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月28日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月28日)

今期予想EPS 1401.22 (前週 1402.84円)
来期予想EPS 1582.59 (前週 1584.44円)
再来期予想EPS 1625.39 (前週 1626.75円)
今期予想PER 17.21 (前週 17.02倍)
来期予想PER 15.24 (前週 15.07倍)
再来期予想PER 14.84 (前週 14.67倍)
来期予想PBR 1.22 (前週 1.21倍)
来期予想ROE 7.99% 前週 8.02%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.44% (前週 7.48%)

9月28日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 



図1
円安トレンドが足元の株高を示唆?


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
48.347.644.047.750.0%
再来期予想ベースのプラス企業比率は、49.345.744.448.444.7
低空飛行が続く。円安で再度のトレンド変換はあるか?

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。