8月10日妥当レンジ 22,900円~24,800円
トルコリラ・ショックは一過性の問題だろうか!?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<トルコリラ大幅下落、市場の不安定化拡大へ>
■日本時間の13日早朝の海外市場でトルコリラは7.2リラ/ドルと最安値を更新した。12日のトルコのエルドアン大統領が「金利の罠には落ちない」とあらためて利上げを否定する発言を行ったことによる。現在は6.9リラ/ドル付近で小康状態を保っているが、利上げが見込めない状況下では投機筋の標的になりやすく予断を許さない状況にある。
■発端は2016年に発生したクーデター事件に絡んでトルコ当局が逮捕した米国人牧師の釈放を巡って、米国政府がトルコ2閣僚への制裁を発動(1日)。さらに、トルコに対する一般特恵間関税制度に基づく非関税アクセスへの見直しを発表。鉄鋼及びアルミ製品に対するトルコに対する税率を倍に引き上げる決定を行った。
■トルコ経済そのものは堅調との見方もあるが、慢性的な経常赤字国であるトルコは海外資金への依存度が高く、主にEU圏の銀行が資金の出し手になっており、リラ下落によって債務不履行が発生すればEUにも飛び火する可能性がある。場合によっては世界的な信用収縮を引き起こすリスクも考えられる。
■本日(14日)の日本株市場は自律反発しているものの楽観視は出来ないと考える。
■14日に発表された中国の主要統計は、固定資産投資(1-7月)は前年同期比+5.5%(1-6月は+6.0%)、社会消費品小売総額(7月)は前年同月比+8.8%(6月+9.0%)、鉱工業生産(7月)は前年同月比+6.0%(6月同)と芳しくない。中国政府は年後半に公共投資を上積みする方針であるが、今後、米国の制裁関税が第2弾、第3弾と発動されることを鑑みれば、減速感が強まることが懸念されるだろう。
<「コンセンサスDI」は全期間で50%を上回ったが>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で全期間プラス。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)も、全期間で50%を大きく上回った。このトレンドが持続するかを次週以降見極めたい。
■市場に埋まっている地雷がまた一つ増えたようであり、上値を追う展開にはない。警戒スタンスを継続したい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
22,900円~24,800円 | (前回22,900円~24,800円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月10日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月10日)
今期予想EPS | 1388.84円 | (前週 1379.70円) |
来期予想EPS | 1586.31円 | (前週 1583.49円) |
再来期予想EPS | 1635.66円 | (前週 1629.38円) |
今期予想PER | 16.06倍 | (前週 16.33倍) |
来期予想PER | 14.06倍 | (前週 14.23倍) |
再来期予想PER | 13.63倍 | (前週 13.82倍) |
来期予想PBR | 1.15倍 | (前週 1.16倍) |
来期予想ROE | 8.19% | (前週 8.16%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.76% | (前週 7.71%) |
8月10日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
今年3月のPER最低(14.9倍)を基準にすれば、日経平均株価の下限は21,430円。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 43.0%→47.9%→56.0%→50.0%→58.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、50.9%→44.4%→58.8%→52.0%→55.3%。
50%超が1Q決算終了後も継続するか!
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |