2月2日妥当レンジ 22,950円~24,800円
NY下落の影響は大きいものの、基本スタンス変わらず

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<好調な米雇用統計が金利上昇不安を増幅>

■NYダウは2日に▲665.75ドル、5日に▲1175.21ドルの大幅下落となった。5日は下げ幅では過去最大となる。2日発表の米雇用統計(1月)において、非農業部門雇用者数の増加が市場予想を上回ったことや平均時給の伸び率が前年比2.9%と大きく加速し、インフレ見通しが強まり、長期金利が2.85%へと急上昇したことが背景である。元々NY株式に関してはバリュエーション面での割高感が強まっていたことから急激な調整となった。
■世界的な株安を受けて、本日の日経平均株価も一時1,600円を超える下落幅となっている。日本株には割高感はないものの、NY株式の下落が止まるまでは、市場心理の悪化から軟調な展開が続くものと考えれられる。日経平均株価の当面の下値目処としては、12ヵ月移動平均PERで見た場合の比較的最近の底となった17年4月の15.85倍、17年9月の16.02倍を基準にPER16倍近辺の21,180円と置くが市場心理次第でもう一段の下落の可能性も。
■経済環境は世界的に不安要素は殆ど見られない。10-12月期のユーロ圏実質GDP(30日発表)は、年率+2.3%と加速している。1月の中国財新・マークイット製造業PMI(1日発表)は、51.5(予想51.3)と好調を維持。1月の米ISM製造業PMI(1日発表)は59.1、12月(59.3)を若干下回ったものの予想を上回っている。米株式市場の調整が終われば再び株価は上昇トレンドに戻ると考えている。今週は、経済統計よりも要人発言の方に注目が集まりやすいであろう。6日:セントルイス、7日:サンフランシスコ、8日:フィラデルフィア及びミネアポリス、9日:カンサスシティの連銀総裁講演が予定されている。

<IFIS/TIWコンセンサス225は、全期間で前週比プラス継続>

■2月2日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は5週連続で全期間において前週比プラス。コンセンサスDI(前週比プラスになった企業数の比率)も全期間で50超を継続。新年度を見据えて日経平均株価25,000円を目指す動きとの見方は変わらない。ここからは段階的に(買い下がり)押し目買いのスタンスと考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,950円~24,800 (前回23,150円~25,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月2日)

今期予想EPS 1218.37 (前週 1212.46円)
来期予想EPS 1362.88 (前週 1356.00円)
再来期予想EPS 1539.50 (前週 1532.71円)
今期予想PER 19.10 (前週 19.49倍)
来期予想PER 17.08 (前週 17.43倍)
再来期予想PER 15.12 (前週 15.42倍)
来期予想PBR 1.28 (前週 1.30倍)
来期予想ROE 7.48% 前週 7.44%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.91% (前週 6.86%)

2月2日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出





図1
5
日(月)の下落を加味すれば、レンジ下限を底割れした水準。割安感は顕著であるが、米国市場の調整に左右されるだけにいま一つ強気になりにくい。


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 64.766.757.8%→55.9%→57.6%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、61.166.362.755.9%→61.2
プラストレンドを維持。

図3配当利回りからはまだサポートが期待できない。企業の増配に期待。

 

図4結果からみれば移動平均予想PERでは、18倍強で天井をつけやすい(1511月:18.30倍、1612月:18.34倍、181月:18.38倍)。当面の下値の目処をPER16倍の21,180円と置く(174月:15.85倍、179月:16.02倍)。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。