9月29日妥当レンジ 21,100円~22,800円
世界経済の好調を受け、もう一段の水準訂正へ
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米・中・日ともに好調な経済指標>
■2日に発表された9月の米ISM製造業景気指数は60.8と8月(58.8)から大幅に上昇した。大型ハリケーンによる被害の影響から供給(納入指数)や原材料価格上昇が押し上げに寄与したものの13年ぶりの高水準となった。28日発表の米4-6月期GDP(3次推計)も上方修正された。7-9月期の実質GDPはハリケーンの影響から鈍化すると見られるものの、10-12月期に再拡大すると期待される。
■中国国家統計局発表の9月の製造業PMI、非製造業PMI(いずれも9/30発表)は、いずれも8月を上回り好調であった。財新・マークイット製造業PMI(9/30発表)は8月を若干下回ったものの、50以上を維持している。中国経済に関しては、不動産投資に対する抑制の動きが重石になるとの見方が支配的であったが、比較的好調を維持している。30日には人民銀行が一定の条件を満たした銀行に対して預金準備率の引き下げを発表した。18日から5年に一度の中国共産党全国代表大会が開かれ、人事や方針決定がなされるが、現体制の政治的基盤の強化はポジティブに受け止められると考える。
■日本も日銀短観(2日発表)から電子部品などIT関連、設備投資関連の内外の需要の強さが確認された。8月の消費者物価(29日発表)もエネルギー価格上昇の影響が強いものの総合コアで前年比+0.7%となった。
■懸念材料としては、衆議院選挙、スペイン カタルーニャ州の独立宣言の行方(スペイン経済や他の欧州諸国への影響)、ラスベガス銃乱射事件の影響(観光等)、米FRB議長人事(トランプ大統領が2~3週間内に決断するとコメント)、など挙げられるが、目先的には不安は少ない(北朝鮮の突発的な行動を除く)。6日に米雇用統計(9月)が発表されるが、数値が芳しくなくてもハリケーンの影響と看做されよう。
■9月29日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間で前週比プラス。コンセンサスDI(=予想EPSの前週比プラス比率)も、サンプル数が少ないながら全期間で50(中立水準)を上回る水準を維持。世界景気の恩恵を受ける輸出ならびにグローバル銘柄を中心に日本株の上昇を見込む。引き続き、強気で臨みたい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
21,100円~22,800円 | (前回21,150円~22,850円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月29日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月29日)
今期予想EPS | 1164.81円 | (前週 1161.08円) |
来期予想EPS | 1288.82円 | (前週 1283.82円) |
再来期予想EPS | 1433.01円 | (前週 1428.87円) |
今期予想PER | 17.48倍 | (前週 17.48倍) |
来期予想PER | 15.79倍 | (前週 15.81倍) |
再来期予想PER | 14.21倍 | (前週 14.20倍) |
来期予想PBR | 1.22倍 | (前週 1.22倍) |
来期予想ROE | 7.71% | (前週 7.70%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.24% | (前週 7.27%) |
9月29日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
国内景況感の改善が進む中で、円安トレンドが継続しており、好環境が続く。 米雇用統計は、良くても悪くてもあまり材料視されないとみる。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 54.7%→55.4%→50.0%→64.0%→61.7%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、52.5%→62.5%→51.5%→57.1%→52.8%。
サンプル数が少ないもののプラストレンドを維持!
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |