2月24日妥当レンジ 18,900円~20,400円
大型イベントを控え慎重な動きも、日本株の割安感顕著

2017/02/28

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<28日の一般教書演説には注意が必要であるが>

■NY株式市場が12営業日連続で最高値を更新する一方で、日本株市場には膠着感が漂っている。日本株が軟調なのは為替が円高気味に推移していることにあるが、1)28日に予定されているトランプ米大統領の一般教書演説において具体的な減税案や経済対策が示されず、米金利上昇の見方に対してマイナスとなる可能性や、2)3月15日のオランダ総選挙での極右・自由党が大きく議席を伸ばすと見込まれており、欧州情勢が混迷を強める可能性などが背景にある。
■ただし、米国株式市場が強気であるのは足もとの米国経済の好調を反映しているとも言われており、ISM製造業景況指数(1日)、 ISM非製造業景況指数(3日)、ADP雇用統計(8日)、雇用統計(10日)などで好調が再認識されれば、3月の米FOMC(15-16日)での利上げの可能性は極めて低いものの、利上げ期待の高まりから円高には歯止めがかかるものと考えられる。
■今週は、米大統領一般教書演説(28日)、イエレンFRB議長講演(3日)、中国全人代(5日)など大きなイベントが重なっており、振れ幅の大きなマーケット展開も考えられる。しかしながら、3Q決算発表終了後もアナリスト・コンセンサス予想は順調に推移しており、大きく下振れるようであれば押し目買いの好機と考える。

 

<コンセンサス予想は、引き続き前週比プラスを維持>
■2月24日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、引き続き全期間において前週比でプラスであった。「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)も来期・再来期ベースともに高水準を維持している。
■なお、24日時点では、12ヵ月フォワードベースの予想EPSからの日経平均株価の妥当レンジは、19,800~21,400円と、前週から上方にシフトしており、引き続き「買いシグナル」が点灯した状態にある。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,900円~20,400円 (前回18,700円~20,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月24日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月24日)

今期予想EPS 1047.78 (前週 1042.19円)
来期予想EPS 1150.48 (前週 1144.56円)
再来期予想EPS 1261.24 (前週 1254.77円)
今期予想PER 18.40 (前週 18.46倍)
来期予想PER 16.76 (前週 16.81倍)
再来期予想PER 15.29 (前週 15.33倍)
来期予想PBR 1.23 (前週 1.23倍)
来期予想ROE 7.33% 前週 7.31%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.86% (前週 6.82%)

*2月24 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

図1
予想EPSの増加トレンドから妥当レンジは緩やかに上方シフト。日本株の割安感は強まりつつある。

 


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 64.8%→62.8%→58.7%→62.1%→59.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、70.5%→61.5%→67.6%→55.9%→62.4%。

決算一巡後も高水準を維持!!

 

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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