1月27日妥当レンジ 18,950円~20,450円
国内経済指標好調、トランプリスクは絶好の収益機会
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米GDP速報は期待を下回る、大統領令署名から混乱に>
■27日に発表された米国の2016年10-12月GDP速報(季調済)は、年率換算で+1.9%と市場予想(+2.2%)を下回った。個人消費が7-9月の+3.0%から+2.5%に鈍化したこと、輸出が▲4.3%と減少した。輸出は7-9月の大豆の出荷が大きかったことの反動と、大統領選後のドル高の影響と見られている。こうした特殊要因を除けば、潜在成長率は維持されているとの見方が有力である。
■先週末の米国株式市場は、GDP速報が期待を下回ったことに加えて、トランプ大統領が難民並びにイスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令に署名したことから米国内外で大きな混乱が生じていることが影響して、下落している。
■日本株もその影響から週明けより軟調に推移している。しかしながら、堅調な企業業績見通しが下支えると予想する。3月期決算企業の3Q決算発表が先週から始まっているが、来期・再来期のアナリストコンセンサスは引き続き上向いている。
■12月の貿易統計(25日発表)では、自動車部品、半導体や電子回路等が牽引して輸出数量が+8.4%と2ヵ月連続で伸びた。全国消費者物価指数(27日発表)は、生鮮食品を除く総合(コア)が11月の▲0.4%から12月は▲0.2%と改善した。原油価格の上昇や円安等の要因でエネルギーのマイナス寄与が縮小している。今月分(1月)からプラスに転じるとの見方もある。国内経済の上向きがますます顕在化しつつある。
<コンセンサス予想は、銘柄入替えのマイナスを吸収>
■1月27日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、来期・再来期ベースで前週比プラスであった(来期は13週、再来期は9週連続でプラス)。24日のミツミ電機(6767)と大塚HD(4578)との入替えは、予想EPSに対してはマイナス・インパクトであるにも関わらず吸収して増加した。「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)は来期ベースで60%台、再来期ベースでは70%台を維持した。引き続き、現株価水準は積極的な押し目買いのポイントと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
18,950円~20,450円 | (前回18,800円~20,350円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月27日)
今期予想EPS | 1010.50円 | (前週 1012.78円) |
来期予想EPS | 1110.07円 | (前週 1107.85円) |
再来期予想EPS | 1217.90円 | (前週 1216.16円) |
今期予想PER | 19.27倍 | (前週 18.90倍) |
来期予想PER | 17.54倍 | (前週 17.27倍) |
再来期予想PER | 15.98倍 | (前週 15.74倍) |
来期予想PBR | 1.30倍 | (前週 1.29倍) |
来期予想ROE | 7.39% | (前週 7.44%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.81% | (前週 6.89%) |
*1月27 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
引き続き妥当レンジは切りあがっており、割安感も維持されている。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 65.5%→73.8%→57.5%→64.4%→64.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、69.8%→73.5%→65.7%→72.2%→70.5%。
前週はサンプルが少ないものの、来期ベースは60%台、再来期ベースは70%台を維持。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |