12月22日妥当レンジ 18,750円~20,250円
2017年度は、企業業績の過去最高を背景に高値更新する
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<2017年、年初下落の不安説は心理的なもの>
■2017年度の企業業績見通しは、日経平均がバブル後の最高値(20,946円)を記録した2015年を超えると思われる。2015年との対比では為替水準はやや円高にあるものの、中国経済も底入れ傾向が見られており、国内景気は確実に回復基調にある。2017年はバブル後の高値更新を伺う展開を予想する。
■もちろん、トランプ大統領の政策が不透明であることや、米国と中国(あるいはロシア)との緊張が高まる可能性、英国のブレグジットに向けた影響、欧州各国での保護主義の台頭とEUに対する求心力の低下、など懸念材料を挙げれば枚挙にいとまがない。もちろん、状況を常に注視しながら方向転換の可能性も意識の片隅においておく必要があることは言うまでもない。
■しかし、年初の株価下落不安の根拠は心理的な要素が多くを占めているように思われる。「急上昇しただけに下落する」「ドル高などの影響から米国株が萎み、その影響が波及する」「円高への巻き戻し」「商品価格上昇が緩慢」「株式需給面」。そうした影響を全く無視することは出来ないし、調整局面はどこかで必ずある。ただ、トレンドが変わることとは別物だと考えている。
■12月22日時点のコンセンサス予想をベースにした2017年度の日経平均株価の妥当レンジを、TIWでは、19,950~21,600円と試算している。企業業績見通しのプラス修正が続く限りは弱気になる必要はないと考える。2017年も皆様にとって良い年でありますように。
<コンセンサス予想は幅広い銘柄でプラスが続く>
■12月22日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は4週連続で全期間において前週比プラスとなった。前週比プラスとなった銘柄数の比率(「225コンセンサスDI」)は、来期においては2週連続で70%台となった。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
18,750円~20,250円 | (前回18,700円~20,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月22日)
今期予想EPS | 1009.83円 | (前週 1006.59円) |
来期予想EPS | 1098.08円 | (前週 1092.23円) |
再来期予想EPS | 1206.17円 | (前週 1201.22円) |
今期予想PER | 19.24倍 | (前週 19.27倍) |
来期予想PER | 17.69倍 | (前週 17.76倍) |
再来期予想PER | 16.11倍 | (前週 16.15倍) |
来期予想PBR | 1.30倍 | (前週 1.30倍) |
来期予想ROE | 7.32% | (前週 7.35%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.77% | (前週 6.76%) |
*12月22 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
コンセンサス予想EPSの上昇から依然としてレンジ中位の水準が続く
来期予想ベースのプラス企業比率は、 50.8%→62.1%→64.0%→70.3%→72.7%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.4%→58.2%→67.7%→68.9%→68.2%。
来期予想ベースは70%と高水準を維持!!
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |