ムードの良くない相場を支える「買える銘柄」の存在
今週の日経平均は再び38,000円台を回復するスタートとなり、18日(水)には38,885円まで上値を伸ばすなど、これまでのところ強含みの展開となっています。
先週末にイスラエルがイランを攻撃し、中東情勢が緊迫する中で迎えた今週は、日米の金融政策イベントをはじめ、15日から17日にかけて開催されたG7首脳会議に合わせて行われる日米首脳会談での関税交渉の行方などが注目されていました。
相場全体のムードは決して良好ではなかったのに、今週の日経平均が戻り高値をうかがう推移となったことはやや意外ではありますが、それでも上昇の動きを見せたということは、相場の先高観は思ったよりも強いのかもしれません。
とはいえ、18日(水)時点で、日経平均が75日移動平均線から6%を超える乖離率となっていることで、短期的な過熱感を帯び始めているほか、日米首脳会談でも関税交渉で合意に至ることはできず、中東情勢もイスラエルの攻撃が続き、さらに米国の関与も警戒されることなどを踏まえると、目先は売りに押される場面が増えるかもしれません。
問題なのは、今後も株式市場の先高観が続くのかです。足元の相場環境があまり良くない中でも、日米の株式市場がしっかりした展開となっている理由のひとつとして、「買える銘柄」が結構多いことが挙げられます。
具体的には、AI需要を背景とした半導体関連株や、暗号資産関連、防衛関連などが物色される場面が増えていますが、とりわけ、暗号資産については、「ステーブルコイン」が注目されており、米国の上院で関連法案が今週に可決したほか、ステーブルコインの発行体企業のサークル・インターネット・グループが今月の5日に米国株市場で新規上場し、公開価格(31ドル)に対して、18日(水)の終値(199ドル)まで、短期間で急上昇するなどの動きを見せています。
ステーブルコインとは、仮想通貨の一種で、通貨や決済手段としての実用性を高めるために、価格の安定性を重視したので、国債や法定通貨を裏付け資産に設定するという特徴があります。ステーブルコインが決済手段として普及すれば、従来の銀行システムを介した決済と比較して、手数料が低く、迅速な取引が可能になると期待されています。
さらに、最近は米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」が市場を不安にさせる場面がありましたが、今後、米ドルや米国債を裏付け資産とするステーブルコインの発行が増えれば、それに伴って、米ドルや米国債を買う主体が増えることも意味するため、米国資産の安定性に寄与するのではという見方もあるようです。
しかしながら、肝心の米関税政策の不確実性や、米景気への影響、地政学的リスクの高まりなど、マクロ環境面が実体経済に影響を及ぼす不安が燻っているため、しばらくは、こうした個別物色が相場を支えることが想定されるものの、中長期的に過度な強気に傾くのは慎重になった方が良いかもしれません。

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