12月16日妥当レンジ 18,700円~20,200円
目先は利益確定の売り圧力も、上昇基調は変わらず

2016/12/20

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<日米の金融政策会合は市場予想通りの展開>

■米FOMC(14日)において市場予想通り政策金利が0.25%引き上げられた。また、FOMCメンバーによる17年末の金利予想から17年の利上げ予想回数は市場実勢に鞘寄せされるように2回から3回に引き上げられた。
■日銀金融政策決定会合(20日)では、市場予想通り長短金利の操作目標を現状維持とした。ただし、景気の総括判断を小幅に前進させた。11月の貿易統計(19日発表)では、輸出入ともに金額ベースで前年同月比減少となったが、為替の影響(税関長公示レートでは前年同期13.5%の円高)によるものであり、数量ベースでは輸出入ともに増加。特に輸出は自動車部品・原動機などが寄与して7.4%増と比較的高い伸びとなった。円安が反映される12月分では金額ベースでも増加が見込めよう。
■米大統領選から約1ヵ月の上昇ピッチが速かったことや、年末を控えて利益確定の動きが強まっているものの、企業業績見通し(アナリスト・コンセンサス予想)は来期・再来期も大きく上昇しており、株価には割高感はないと考える。
■ドイツ・ベルリンでのテロ?(19日)、トルコでのロシア大使の暗殺(20日)、オバマ大統領によるロシアのサイバー攻撃に対する行動宣言(14日)と不透明な要素もあるが底堅い展開を予想する。

 

 

<コンセンサス予想は幅広い銘柄でプラスが続く>
■12月16日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は3週連続で全期間において前週比プラスとなった。自動車、電機・精密、非鉄、商社など軒並みプラスである。前週比プラスとなった銘柄数の比率(「225コンセンサスDI」)は、来期においては70%台に、再来期も70%近い水準になっている。
■内需・輸出関連ともに株価の押し目には積極的な対応が求められよう。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,700円~20,200円 (前回18,450円~19,950円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月16日)

今期予想EPS 1006.59 (前週 1006.49円)
来期予想EPS 1092.23 (前週 1086.53円)
再来期予想EPS 1201.22 (前週 1191.60円)
今期予想PER 19.27 (前週 18.87倍)
来期予想PER 17.76 (前週 17.48倍)
再来期予想PER 16.15 (前週 15.94倍)
来期予想PBR 1.30 (前週 1.29倍)
来期予想ROE 7.35% 前週 7.35%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.76% (前週 6.81%)

*12月16 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

%e5%9b%b31
コンセンサス予想EPSの上昇から依然としてレンジ中位の水準が続く

 


%e5%9b%b32
来期予想ベースのプラス企業比率は、 56.5%→50.8%→62.1%→64.0%→70.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、53.3%→48.4%→58.2%→67.7%→68.9%。

来期予想ベースは70%と高水準!!

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ