1月15日妥当レンジ 16,800円~18,100円
業績見通しの悪化が続くが、株価は底値圏
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<1月下旬から2月上旬に一旦反騰を予想>
■原油価格の下落と、15日発表の12月の米国経済指標(小売売上高、生産者物価指数、鉱工業生産)が芳しくなかったことから米国株が下落。海外市場の停滞と円高を受けて日本株の下落が続いているが、既に底値圏に到達しており、ここからの下落余地は大きくないと考える。
■1)27日の米FOMCにおいて利上げペースに関して慎重なスタンスが確認されること、2)28~29日の日銀の金融政策決定会合において追加緩和の可能性があらためて示唆されること、3)3Q決算発表での業績悪化を先取りして株価の調整が進んでおり、悪材料の一端で尽くしとなる可能性が考えられること。これらが反騰の切掛けになるものと考える(日銀が追加緩和を行うと市場が見ている水準は、日経平均15,500円、ドル円115円であり、これを下回る可能性は低いと考える)。
■ただし、来期会社予想(4~5月の本決算)はかなり慎重な内容となることが予想されるだけに、本格的なリバウンドには至らないだろう。日経平均18,000円を上限とする自立反発の域を出ないと考える。中国経済や中東情勢が悪化した場合には、3月中盤から4月に掛けて3番底を覗う展開が生じる可能性には留意したい。
<前週比プラス企業比率はアベノミクス後の最低水準>
■1月15日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、2週続けて全期間マイナスであった。前週比で予想EPSがプラスになった銘柄の比率は、31.9%(来期ベース・変化なし銘柄を除く)となった。これは、アベノミクス後(2012年10月以降)では最低であり、市場が陰の極にあることが伺える。
■原油価格の下落と円高による輸入物価の下落は、交易条件の改善を通じて日本経済にはメリットが大きい。デフレが問題なのは失業を齎すからであり、人口減と少子高齢化が進行する現状では悪影響は小さいと考える。小売・卸売、紙・パルプ、電力・ガスなど内需系の企業にメリットが大きいと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
16,800円~18,1000円 | (前回17,150円~18,450円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月15日)
今期予想EPS | 1004.56円 | (前週 1009.87円) |
来期予想EPS | 1120.90円 | (前週 1125.84円) |
再来期予想EPS | 1221.97円 | (前週 1227.01円) |
今期予想PER | 17.07倍 | (前週 17.52倍) |
来期予想PER | 15.30倍 | (前週 15.72倍) |
再来期予想PER | 14.03倍 | (前週 14.42倍) |
来期予想PBR | 1.12倍 | (前週 1.14倍) |
来期予想ROE | 7.29% | (前週 7.28%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.85% | (前週 6.77%) |
*1月15 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
水準的には底値圏にあるが・・・・。
来期予想ベースのプラス企業比率は、43.7%→51.2%→51.9%→41.1%→31.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、39.8%→48.8%→49.0%→38.5%→35.2%。
下方トレンドが強まっており、3Q決算後までは回復は見込み難いか?
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
今期予想だけでなく、来期・再来期もコンセンサスEPSの低下トレンド続く(既に期初=5月時点を下回る)。
【参考】予想EPS(12ヵ月フォワード予想ベース)で算出した妥当レンジ下限を下回ってきており、底値圏であることが見て取れる(買いシグナル?)。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |