11月20日妥当レンジ 18,400円~19,800円
株価材料乏しい中での揉み合いの展開か?

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<次週の材料を待つ展開>
■今週は、日本が勤労感謝の日(23日)、米国がサンクスギビングデー(26日)であることや、27日発表の全国消費者物価(10月)、実質消費支出(10月)を除くと目立った経済指標の発表も無く、材料の乏しい週である。次週は経済指標発表が相次ぐことや、3日にECB理事会が予定されており、ユーロ圏の量的緩和への期待が強まることなどから株価は大きく振れる展開も予想される。
■次週の主な経済統計発表は次の通り。30日:鉱工業生産指数(10月)、12月1日:米ISM製造業景況指数(10月)、中国PMI製造業(11月)、2日:米ADP雇用統計(11月)、3日:米ISM非製造業景況指数(11月)、4日:米雇用統計(11月)。
■先週末の日経平均株価は、僅かであるものの妥当レンジ上限を超えてきており、バリュエーション面では警戒感が強まりつつある。しかしながら、ユーロの緩和によって緩和マネーによる日本株物色への期待、12月15-16日の米FOMCにおける利上げの可能性からドル円の高止まり(円安)、から上値は重いものの、押し目を拾う動きが続いている。テロなどによる緊迫は続くものの、世界景気も緩やかに回復傾向(デフレ脱却)にあるとの見方もあり、不安定ながらも現状は足場が保たれている。しかしながら、2万円近辺は利食い水準であるとの見方は継続する。

 

<コンセンサスEPSは来期・再来期がプラス>
■11月20日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期予想ベースではマイナスとなったものの、来期・再来期は2週続けてプラスとなった。前週比プラス企業数の割合も来期・再来期ベースが揃って50%台を13週ぶりに確保。3Qに対する事前レビューが出てくる1月上旬頃までは大きな変化の無い状態が続くと思われる。
■前年同月では為替水準に大きな乖離がなくなっており、輸出企業の採算改善ペースは鈍化する。他方で小売・食品など内需銘柄はバリュエーションから買い難い。IT・インターネット、やや出遅れ感のある小型株が目先の物色対象だろうか?

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,400円~19,800円 (前回18,300円~19,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月20日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月20日)

今期予想EPS 1038.78 (前週 1041.40円)
来期予想EPS 1132.48 (前週 1130.12円)
再来期予想EPS 1233.79 (前週 1232.97円)
今期予想PER 19.14 (前週 18.82倍)
来期予想PER 17.55 (前週 17.34倍)
再来期予想PER 16.11 (前週 15.89倍)
来期予想PBR 1.28 (前週 1.27倍)
来期予想ROE 7.27% 前週 7.30%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.48% (前週 6.53%)

*11月20日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

図1株価は僅かであるが妥当レンジ上限を突破、金融相場の様相が強まってきた。

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 45.6%→51.8%→50.4%→43.4%→56.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、35.6%→44.0%→47.2%→52.5%→50.4%。

来期、再来期ともに50%超えだが力強さには欠ける

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。