11月13日妥当レンジ 18,300円~19,700円
政策・緩和期待の次にあるもの

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<補正予算の上乗せなど政策期待が強まる?>
■機械受注(12日)、7-9月GDP一時速報(16日)など国内経済統計は芳しくない。13日にパリで起きた大規模テロの影響から月曜日は大きく下げた。しかしながら、欧米株式市場の反発もあり、17日の日本株は再び19,700円を奪還する大幅反発となった。
■日銀金融政策決定会合(18-19日)での追加緩和期待、補正予算規模の拡大期待、など政策期待の高まりも上昇の背後にはある。ただし、現在のバリュエーションを鑑みるならば足場は必ずしも強固であるとはいえないだろう。引き続き、2万円を覗う展開では利食いを心がけたいと考える。

 

<2Q決算のトレンドは継続するか?>
■2Q決算が出揃った。日経平均株価採用銘柄のコンセンサス予想EPSを、決算前の9月25日と11月16日で比較するとプラス・マイナス企業数は以下の通りである。今期ベース(プラス107・マイナス106)、来期ベース(92・124)、再来期ベース(89・124)。今期ベースでは僅かにプラス企業数が上回ったが、来期、再来期においてはマイナスとなった企業が多い。日経平均予想EPSの伸び率は、来期8.5%、再来期9.1%と10%を割り込んでいる。
■9月25日と11月16日を比較して、来期ベースのコンセンサス予想EPSが10%以上増加した企業は次の通り、日本曹達(4041)、パイオニア(6773)、テルモ(4543)、トクヤマ(4043)、東海カーボン(5301)、国際石油開発帝石(1605)、宇部興産(4208)、第一三共(4568)、日本電気硝子(5214)、大林組(1802)、鹿島(1812)。
■逆に20%以上コンセンサス予想EPSが減少した企業は次の通り、太平洋金属(5541)、シャープ(6753)、OKI(6703)、日本板硝子(5202)、神戸製鋼所(5406)、東芝(6502)、アドバンテスト(6857)、三井造船(7003)、ミツミ電機(6767)、 JFE HD(5411)、新日鐵住金(5401)、日新製鋼(5413)。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,300円~19,700円 (前回18,050円~19,450円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月13日)

今期予想EPS 1041.40 (前週 1044.88円)
来期予想EPS 1130.12 (前週 1130.10円)
再来期予想EPS 1232.97 (前週 1227.38円)
今期予想PER 18.82 (前週 18.44倍)
来期予想PER 17.34 (前週 17.05倍)
再来期予想PER 15.89 (前週 15.70倍)
来期予想PBR 1.27 (前週 1.25倍)
来期予想ROE 7.30% 前週 7.31%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.53% (前週 6.56%)

*11月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

図1株価はほぼ妥当レンジ上限にあり、警戒水準に入りつつある。

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 36.9%→45.6%→51.8%→50.4%→43.4%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、32.0%→35.6%→44.0%→47.2%→52.5%。

再来期ベースは12週ぶりに50%超え。しかし、来期ベースは再び50%割れ。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。