2月20日妥当レンジ 17,850円~19,200円
国内景気回復に注目が集まる

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<ギリシャ支援 4ヵ月延長で当面の火種は無くなる>
■20日に開催されたユーロ圏財務相会合において、2月末に期限が切れるギリシャ向け金融支援を(ギリシャ政府は23日までに改革案をEUに提出することを合意延長の条件として)4ヵ月延長することを決定。4ヵ月後には再びギリシャは財政破綻の危機にさらされる可能性が残るものの、目先の火種は無くなった。また、金融市場は最悪のシナリオを段階的に織り込んでいると推察され、影響は縮小傾向にあると考える。
■1月の貿易統計(速報値・19日発表)において、貿易赤字額が前年同月比57.9%減少した。輸出が金額で+17.0%、数量で+11.2%、輸入が金額で▲9.0%、数量で▲6.3%となった。輸出は米国、欧州、アジア、中国と全般的に伸びており、生産の国内回帰などの影響が表れてきたことが指摘できる。輸出回復の持続と共に、今後は国内景気回復が注目されるであろう。今週末(27日)には、消費者物価指数、有効求人倍率・失業率、鉱工業生産の発表が予定されており、発表内容によってはマーケットはポジティブに反応する可能性が指摘できる。

 

<コンセンサス予想EPSは、来期・再来期ベースがプラス>
■2月20日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で今期ベースはマイナスとなったものの、来期・再来期は大きくプラスとなった。今期予想は頭打ちとなっているものの、来期・再来期業績に対する期待感が高まっているものと思われる。前週比で予想EPSがプラスとなった企業数の割合は、来期ベースでは50.0%と拮抗状態にあるが、再来期ベースは56.2%と上昇しているので懸念する必要はないと考える。
■今回は、来期・再来期の予想EPSの増加に加えて、長期金利が低下したこと(0.415%→0.390%)、予想ROEの上昇(7.78%→7.85%)などから妥当レンジを大きく引き上げる。
■株式市場では、日替わり的に広い範囲での物色が続いているが、輸出大型株を投資対象の中心に置きたい。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,850円~19,200円 (前回 17,400円~18,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月20日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月20日)

今期予想EPS 925.73 (前週 926.55円)
来期予想EPS 1052.30 (前週 1048.23円)
再来期予想EPS 1150.13 (前週 1145.64円)
今期予想PER 19.79 (前週 19.33倍)
来期予想PER 17.41 (前週 17.09倍)
再来期予想PER 15.93 (前週 15.64倍)
来期予想PBR 1.37 (前週 1.33倍)
来期予想ROE 7.85% 前週 7.78%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.83% (前週 6.78%)

*2月20日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 TIW11
12ヵ月移動平均で見た場合の妥当レンジは、18,580円~20,050円。現株価水準は移動平均レンジで見た場合の下限を下回っており、まだ弱気になる必要はない。

TIW12

来期予想ベースのプラス企業比率は、57.0%→60.2%→55.6%→51.0%→50.0%。 再来期予想ベースのプラス企業比率は、46.0%→56.3%→52.1%→53.9%→56.2%。 再来期ベースが伸びており、中期的な業績拡大基調に変わりはないと考える。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

TIW13

コンセンサス予想EPSは、前年度(2013年5月~2014年4月)と比較すると堅調に拡大傾向にあることが見て取れる。

TIW14

予想配当利回り(今期ベース)は、リーマンショック以降では最低水準に。しかしながら、長期金利とは依然として1%近い差が存在する。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。