2015年の自動車市場と完成車メーカー業績見通しのポイント -高田 悟-
2014年暦年の主要国の四輪車販売台数データが次ぎのとおり出揃った。先ず先進国。米国1,652万台(前期比5.9%増)、日本556万台(同3.5%増)、ドイツ(乗用車)303万台(同2.9%増)、英国(乗用車)247万台(同9.3%増)、フランス216万台(同0.5%増)、イタリア(乗用車)135万台(同4.2%増)、スペイン(乗用車)85万台(同18.4%増)となった。続いてBRICs諸国。ブラジル349万台(同7.1%減)、ロシア249万台(同10.3%減)、インド317万台(同2.0%減)、そして中国が2,349万台(同6.9%増)となった。最後に日系の牙城であり、市場成長が期待される東南アジア。主要市場のタイ(1-11月の11カ月間)が79万台(同34.9%減)、インドネシア(同様に11カ月間)が112万台(同0.2%減)となった。
先進国が堅調に推移し、中国を除く新興国が低迷した。先進国の中では米国が年を通じて好調。乗用車横ばいもSUVやピックアップトラックなど大型車好調が成長を牽引した。西欧諸国は最大のドイツが3年ぶりのプラスとなり、これまでが悪すぎたとはいえ総じて堅調に推移した。日本は堅調とはいえ前半の消費増税前の駆け込みが牽引、後半、急減速した。そして、軽自動車販売台数が初めて4割を超えた。新興国では中国が唯一気を吐くが、景気停滞から商用車を中心に後半鈍化が鮮明だ。また、前年が13.9%の市場の伸びだったことを踏まえると通年でも成長は鈍化した。中国を除く新興国は資源価格下落、通貨安、景気低迷、政治混乱など理由は色々あるが総じて厳しい結果となった。とはいえ、新政権発足後のインドが後半プラスに転じ回復基調にあることが注目される。
さて、2015年に入る。米国景気が唯一好調な一方で、日本、西欧の回復力は弱く、新興国景気は中国も含めて停滞という一般的な見方に立つと原油安や鉱物価格安、米ドル独歩高が想定される。こうした中、世界の自動車販売は2014年後半の状況を基本的に引きずると考える。しかし、原油安、ガソリン安から米国の新車販売は概ね好調を見込む市場予想以上に拡大する可能性があろう。最大市場の中国は従来の伸びは期待できないが保有台数がまだ少ないことから前年の実績は上回ると見る。また、日系完成車メーカーへの影響が大きい、日本と東南アジアは市場低迷の中で競争激化が想定される。ブラジル、ロシアは厳しいが、原油安が景気にプラスとなるインドの新車市場はかなり伸びる可能性がある。
以上を踏まえると、2015年の日系完成車メーカー業績は米国、中国でどの程度数量を伸ばせるか、新興国販売および新興国生産拠点への依存が過度に大きくないか、業績の円安/米ドル高への為替感応度の高さ、がポイントになると見る。相対的な比較ではトヨタ自動車と富士重工業の業績に安心感がある。インドに強いスズキが注目されるがインド子会社業績は伸びると見るが、日本国内の軽販売競争の激化が懸念される。