12月26日妥当レンジ 17,600円~20,500円
2015年も底堅い展開を予想、長期金利の動きには注意

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<現状の日本株には割高感はない>
■新年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
■2015年も日本株市場は堅調に推移すると考えている。1)企業業績は引き続き上向きに推移する、2)ROE意識の高まりによって、増配・自社株買いの積極化が期待できる、3)国内景気回復は緩慢であるものの、再度の消費増税が延期されたことから不況入りは回避された、4)米国景気は底堅く上向き基調にあること、を挙げる。
■中国の景気悪化、原油安によるロシアや中東など産油国の景気悪化、またそれに伴う新興国等の混乱など為替市場の混乱、ユーロ圏の景気後退と金融緩和の影響など不透明要因も多いことから、単純に楽観視は出来ない。しかしながら、収益性から見た日本株の水準には割安感が十分に残っており、リーマンショックのような世界的恐慌が生じない限りは株価の大幅な下落の可能性は低いと考える。
■ただし、日本株の割安感を支えている大きな要素として0.3%台の長期金利があることは強く認識すべきであろう。長期金利が跳ね上がるような何らかの事態(が生じるかどうかは分からないが)には警戒をすべきであろう。

 

<コンセンサス予想EPSは、前週比で全期間プラス>
■12月26日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で全期間プラスとなった。年末を控えてサンプル数(変動企業数)は減少したものの、前週比で予想EPSが減少した企業を、増加した企業が全ての期間において大きく上回った。予想EPSの増加トレンドは維持されており、まだ弱気になるタイミングではない。
■ギリシャ議会が解散した影響や、新興国通貨の動き、米国経済統計(ISM製造業指数)がやや弱含んだことなどから、年初の株価は調整気味に推移する可能性も考えられるが、引き続き押し目には強気のスタンスで臨みたいと考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,600円~20,500円 (前回 17,300円~20,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月26日)

今期予想EPS 923.34 (前週 922.15円)
来期予想EPS 1033.06 (前週 1031.81円)
再来期予想EPS 1131.17 (前週 1129.63円)
今期予想PER 19.30 (前週 19.11倍)
来期予想PER 17.25 (前週 17.08倍)
再来期予想PER 15.75 (前週 15.60倍)
来期予想PBR 1.36 (前週 1.34倍)
来期予想ROE 7.86% 前週 7.83%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.91% (前週 6.89%)

*12月26日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1

妥当レンジの上方シフトが続く中で、株価はレンジ下限付近で推移。 

 

 図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、60.9%→65.2%→63.0%→60.3%→63.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、63.2%→63.4%→53.1%→57.4%→63.2%。
プラス企業比率は引き続き良好であり、強気スタンス継続。 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。