12月19日妥当レンジ 17,300円~20,200円
米株高に追従する展開、日経平均の割安感は依然大きい

2014/12/25

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米GDP成長率は11年ぶりの水準>
■17日の米FOMCでは、それまでの「当分の間」に変えて、(正常化プロセス着手に関して)「辛抱強くあることが出来る」と表現を前進させた。政策の機動性を確保しつつ、慎重姿勢を崩していないことを示して、市場に安心感を与えることに成功した。ロシアショックから円高に振れていたドル円はこれを機に再び円安基調に戻っている。
■先週の下落局面は結果的に絶好の押し目となった。ルーブルも80RUB/ドルから50RUB台に回復している。米7-9月の実質GDPが前期比年率換算で5.0%増となり、NY市場は過去最高値を更新している。つれて日経平均も17,800円台を回復した。

<コンセンサス予想EPSは今期、来期がマイナスであるが>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期・来期ベースが前週比マイナスとなった。ただし、前週比でプラスとなった企業数はマイナス企業数を上回っており、業績トレンドは引き続き良好。まだ、割安感が強く残っており、輸出関連を軸に積極買いスタンスを継続すべきと考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,300円~20,200円 (前回 17,150円~19,950円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月19日)

今期予想EPS 922.15 (前週 924.86円)
来期予想EPS 1031.81 (前週 1032.02円)
再来期予想EPS 1129.63 (前週 1129.20円)
今期予想PER 19.11 (前週 18.78倍)
来期予想PER 17.08 (前週 16.83倍)
再来期予想PER 15.60 (前週 15.38倍)
来期予想PBR 1.34 (前週 1.33倍)
来期予想ROE 7.83% 前週 7.88%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.89% (前週 6.91%)

*12月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 図1

 

 

図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、66.9%→60.9%→65.2%→63.0%→60.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、63.3%→63.2%→63.4%→53.1%→57.4%。
プラス企業比率は良好であり、強気スタンス継続。 

 

 図3

長期金利(10年国債利回り)の低下から、利回り差(配当利回り-長期金利)は1%を維持しており、株価のサポート要因となっている。 

 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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