10月17日妥当レンジ 14,650円~17,050円
心理的悪化は沈静化へ、コンセンスEPSは増加トレンド

2014/10/21

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<金融市場の混乱は沈静化か?>
■欧州景気の減速、商品市況の下落、米国のQE3の終了と利上げ観測、それにエボラ出血熱の先進国での2次感染などから金融市場の混乱状態が先週も続いた。リスクオフの流れから米10年国債利回りは15日には一時的に1.86%にまで低下した。
■しかし、(失業保険申請件数など)米マクロ統計は堅調に推移していることや、7-9月の米国企業決算においてコンセンサスを上回る企業が多いこと(10/17までに発表を行った81社の64%)などから米国株式市場は落ち着きを取り戻しつつある。
■日本株市場も米国市場の上昇を受けて、20日は大幅に反発した。しかし、為替が円高に触れていることや、国内景気減速感が強まっていること、安倍政権の閣僚辞任など国内要因から回復ペースはやや緩慢な印象が強い。
■今回の下落局面で改めて明らかになったのは、日本株市場は海外投資家の影響を強く受けているということと、バリュエーションが強くは機能していない(=バリュエーションに基づいて投資する国内機関投資家層が薄い)と言うことである。これは市場としての脆弱さであると同時に、バリュエーションに基づく投資家にとってはチャンスもあるということである。

<コンセンサス予想EPSは増加続く>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今回も全期間においてプラスであった。となった。今回もテクニカルな要因から妥当レンジを引下げるが、現株価水準は妥当レンジ下限を下回っており、割安感は顕著。明確な“買い”シグナルと考える。
■前回のレポートで「好決算が見込める輸出関連の上方修正も期待できるだろう。PER水準でもアベノミクス相場開始後では割安レンジに入っており、敢然と立ち向かうタイミングにある。」と述べた。スタンスは変わらない。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,650円~17,050円 (前回 15,200円~17,650円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月17日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月17日)

今期予想EPS 910.51 (前週 904.39円)
来期予想EPS 1012.20 (前週 1010.58円)
再来期予想EPS 1105.93 (前週 1102.07円)
今期予想PER 15.96 (前週 16.92倍)
来期予想PER 14.36 (前週 15.14倍)
再来期予想PER 13.14 (前週 13.88倍)
来期予想PBR 1.12 (前週 1.19倍)
来期予想ROE 7.79% 前週 7.83%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.07% (前週 6.96%)

*10月17日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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妥当レンジ下限を下回る水準は明確な買いシグナル。

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来期予想ベースのプラス企業比率は、59.1%→60.8%→68.7%→54.6%。再来期予想ベースは61.5%→56.2%→68.5%→58.8%。安定的にプラス優勢。

 

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 コンセンサスEPSは明確な上向きトレンド。

 

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インプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)7.07%はアベノミクス後では最大(=割安)。

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。