10月10日妥当レンジ 15,200円~17,650円
コンセンスEPSは増加基調。敢然と立ち向かえ!

2014/10/15

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<円高と海外株安を受けて日本株は未曾有の下落>
■IMFの経済見通しの下方修正(10/7)、欧州経済の停滞、原油・金といった商品価格の下落などから世界経済に対する不安が増幅された結果、世界的に株価の大幅下落が生じている。時に日本株(日経平均株価)は、9月25日の高値16,374円から14日には8.8%も下落した。
■FRBによるQE3が終了することによる新興国からの資金流出の懸念など混乱とファンド筋の思惑が入り混じって下落を引き起こしているものと考えられるが、現時点では米国経済は堅調な回復基調にあり、世界的な不況への突入は可能性は低いと考えられる。米国株については高値警戒とQE3終了後の利上げを意識した動きであり、早期利上げの観測が後退すれば反発に向かうと考えられる。また、米利上げは米国経済の好調による輸出増の期待と、中期的には円安要因であることから、日本株にとっては必ずしもネガティブな要因ではない。 

<今期予想コンセンサスEPSも900円に>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間において大きくプラスとなった。ファーストリテイリング(9983)の対象決算期変更が大きな要因(変化幅の半分以上)を占めたが、それを除外しても増加幅は大きい。前週比プラス企業比率は来期ベースでは68.7%にも達した。テクニカルな要因から妥当レンジを若干引下げるが、現株価水準は妥当レンジ下限を下回っており、割安感は顕著。明確な“買い”シグナルと考える。
■ここから3月期企業の2Q決算発表が始まる。好決算が見込める輸出関連の上方修正も期待できるだろう。PER水準でもアベノミクス相場開始後では割安レンジに入っており、敢然と立ち向かうタイミングにある。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,200円~17,650円 (前回 15,300円~17,750円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月10日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月10日)

今期予想EPS 904.39 (前週 887.31円)
来期予想EPS 1010.58 (前週 1000.82円)
再来期予想EPS 1102.07 (前週 1093.02円)
今期予想PER 16.92 (前週 17.70倍)
来期予想PER 15.14 (前週 15.70倍)
再来期予想PER 13.88 (前週 14.37倍)
来期予想PBR 1.19 (前週 1.22倍)
来期予想ROE 7.83% 前週 7.74%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.96% (前週 6.81%)

*10月10日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1
グラフは10月10日時点。14日時点では明らかに妥当レンジ下限を下回る。 

 

図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、56.1%→59.1%→60.8%→68.7%。再来期予想ベースは52.9%→61.5%→56.2%→68.5%。株価上昇の前兆か? 

 

図3

 コンセンサスEPSは明確な上向きトレンド。 

 

図4
PERでみても過去1年間の低位水準に入りつつある。
 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。