9月19日妥当レンジ 15,650円~18,150円
一時的な下落があっても底堅い展開を予想

2014/09/24

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<先週のイベントは全てポジティブに反応>
■先週、指摘した米FOMC、スコットランド独立を問う住民投票、 G20は予想以上にいずれもがマーケットに対してポジティブな反応を齎すものとなった。
■米FOMCでは、ボードメンバーの将来(2015年末)のFF金利予想(中央値)が、前回(6月)の1.125%から今回は1.375%と上方修正された。それにも関わらず、量的緩和終了後「相当期間」低金利を維持すると従来からの表現が据え置かれたことから米国債利回りは低位安定しているのにも関わらず、ドル高が進行した。G20(20~21日)においてもドル高に対しての米国からの牽制はなく、ドル高を容認していると受け止められた模様である。
■22日に米国と中東5カ国が「イスラム国」を標的としてシリア領への空爆を開始した。これにより、リスク回避から円高、NY株安が生じている。

 

<コンセンサスEPSは今期予想が大きくマイナス>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、来期ベースは僅かにプラスであったものの、今期・再来期はマイナスとなった。特に今期においてマイナス幅が大きかったのであるが、これはソニー(6758)の下方修正(▲3.8円のインパクト)であった。一方で、前週比プラスになった企業数はマイナス企業数を上回った。ただし、時期的に全体のアクティビティ(変化数)が低下している点には留意が必要である。
■今回も妥当レンジを引き上げる。引き続き、日経平均株価は上昇トレンドにあるものの、依然としてレンジ下限付近にあり、上昇余地は大きく、上昇後の反動があっても概ね底堅く推移するものと考える。インプライド・リスク・プレミアム(来季ベース)は6.7%と4月18日以来の水準にあるが、まだ警戒レベルには遠いと考えている。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,650円~18,150円 (前回 15,450円~17,950円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月19日)

今期予想EPS 885.05 (前週 888.84円)
来期予想EPS 996.07 (前週 995.82円)
再来期予想EPS 1088.18 (前週 1088.32円)
今期予想PER 18.44 (前週 17.94倍)
来期予想PER 16.39 (前週 16.02倍)
再来期予想PER 15.00 (前週 14.65倍)
来期予想PBR 1.27 (前週 1.25倍)
来期予想ROE 7.76% 前週 7.82%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.70% (前週 6.77%)

*9月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1
日経平均妥当レンジはさらに上方にシフト。レンジ中央値は16,800円。
 

 図2

 来期予想ベースのプラス企業比率は、56.6%→51.8%→51.4%→56.1%。再来期予想ベースは58.0%→53.8%→48.2%→52.9%。僅かながらも上向きトレンド続く。

 

図3 

 インプライド・リスク・プレミアムは6.70%まで低下。警戒水準(6.5%水準が警戒レベルと考える)からはまだ距離がある。 

 

 図4

 NT倍率は12.25倍と上昇したものの、トレンドからはまだ日経平均に割安感。

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。