9月12日妥当レンジ 15,450円~17,950円
注目材料は多いが、目先マーケットへの影響は小さい

2014/09/17

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<スコットランド、FOMC、G20>
■今週は、世界的注目度の高いイベントが多数あるが、結果的には短期的にはドル円や日本株に与える影響は小さいと考えている。しかし、長期的な金融市場の変化を考える意味では重要度は高い。
■18日にスコットランドの独立を問う住民投票が予定されている。独立賛成派が上回った場合に英ポンドの行方が懸念されている。
■20~21日にG20(主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議)が予定されており、世界的な巨大銀行(29行)の自己資本比率を16~20%に引き上げる規制強化が議論される。日本でも3メガバンクが対象となり、増資・劣後債の発行、資産圧縮など長期的には影響が及ぶ可能性がある。11月のG20サミットで合意されれば2019年以降に適用される見通しである。
■米長期金利は、12日に2.61%をつけたが、15日には2.60%を下回る水準で推移している。16~17日に米FOMCが予定されており、基本路線に対する変化はないと予想されるものの、米国の早期利上げ観測が高まる中で会議後のイエレン議長のコメントには高い注目が集まるだろう。 

 

<コンセンサスEPSは全期間わずかにプラス>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間において僅かであるがプラスであった。完全に決算発表の谷間に入っており、ここから数週間は凪状態が続くものと思われる。今回は、モデル上のテクニカルな要素もあり、妥当レンジを引き上げた。 
■日経平均株価は上昇トレンドにあるものの、依然としてレンジ下限付近にあり、上昇余地は大きいと考える。8月の国内個人消費に関する各種経済指標に注目している。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,450円~17,950円 (前回 15,250円~17,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月12日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月12日)

今期予想EPS 888.84 (前週 888.72円)
来期予想EPS 995.82 (前週 995.03円)
再来期予想EPS 1088.32 (前週 1088.26円)
今期予想PER 17.94 (前週 17.63倍)
来期予想PER 16.02 (前週 15.75倍)
再来期予想PER 14.65 (前週 14.40倍)
来期予想PBR 1.25 (前週 1.22倍)
来期予想ROE 7.82% 前週 7.77%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.77% (前週 6.81%)

*9月12日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1
日経平均妥当レンジはさらに上方にシフト。 

 

図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、56.6%→51.8%→51.4%と安定。ただし、再来期予想ベースは58.0%→53.8%→48.2%とやや後退。

 

図3 

 本決算発表後にじりじりコンセンサス予想が減少していった昨年、一昨年と異なり、本年は僅かであるが増加傾向を辿っている。 

 

 図4

 TOPIX、日経平均ともに日本経済新聞からの計算値(今期ベース)。予想EPS(指数)は、2012年年初を100として表示。日経平均銘柄の業績に優位性があることとNT倍率は必ずしも相関していない。 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。