7月11日妥当レンジ 14,850円~17,250円
企業業績見通しは引き続き良化

2014/07/15

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<海外要因等から先週は波乱があったが>
■先週はポルトガルのエスピリト・サント銀行の経営不安やイスラエルのガザ地区空爆とそれに対する反攻などから欧米市場から懸念が広がった。 NYダウも17,000ドルを達成して高値警戒感が強まっていたことから反落し、日本株も円高を伴って下落した。また、10日に発表された機械受注も国内民需(船舶・電力を除く)が前月比19.5%減と05年4月以来の減少率となったことも不安を増幅した。
■しかし、ポルトガルの銀行問題は、他に飛び火する様相が無いことから週末の海外市場はやや落ち着きを取り戻している。今週は、イエレンFRB議長の議会証言が15~16日に予定されているが、新たなニュースがなければ緩やかな回復歩調を辿ると考える。

 

<コンセンサスEPSは引き続き来期・再来期が上向く>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週と同じく、前週比で今期ベースはマイナスとなったものの、来期・再来期ベースではプラスとなった。ソフトバンク(9984)、電通(4324)、日東電工(6988)、富士重工業(7270)、住友金属鉱山(5713)が全期間ともにプラスに寄与した。本決算直後の5/16時点と7/11時点を比較すると、来期ベースは968.30円→984.49円、再来期ベースは1,054.88円→1,082.59円と長期の見通しが上向いている。
■短期的には海外市場ならびに紛争地域の状況、為替動向等に影響を受けるが、日本株市場の割安感は強い。特に1部大型銘柄に相対的な割安感がある。引き続き、押し目は積極的に拾ってゆく局面と考える。 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,850円~17,250円 (前回 14,950円~17,350円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月11日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月11日)

今期予想EPS 879.30 (前週 880.73円)
来期予想EPS 984.49 (前週 981.44円)
再来期予想EPS 1082.59 (前週 1079.41円)
今期予想PER 17.25 (前週 17.53倍)
来期予想PER 15.40 (前週 15.73倍)
再来期予想PER 14.01 (前週 14.30倍)
来期予想PBR 1.20 (前週 1.22倍)
来期予想ROE 7.76% 前週 7.78%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.85% (前週 6.79%)

*7月11日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1
日経平均株価は妥当レンジ下限近くの割安な水準。 

 

 

図2 

プラス企業比率は前週の60.0%から61.7%に上昇。高水準を維持。 

 

 

図3

インプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)からも株価に割高感は見られない。 

 

 

図4 

来期・再来期のコンセンサス予想EPSは上向き傾向。 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。