3月14日妥当レンジ 13,800円~16,000円
「押し目は強気のスタンス」を継続

2014/03/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<先週は予想外の大幅下落>
■先週は、クリミア情勢の緊迫化と中国の金融・経済に対する懸念から大きく円高・株安に振れた。
■17日のクリミア自治共和国での住民投票では、96.7%の圧倒的多数でロシアへの編入が承認された。ロシアの対応に注目が集まるが、独立を経た後にロシアが編入を承認するという見方が有力である。欧米諸国による経済制裁が予想されるものの、制裁手段は限られており、既にマーケットには織込まれている可能性も指摘できる。
■中国においては李克強首相による理財商品のデフォルト容認発言や銅価格の急落によって金融・経済の悪化が懸念された。しかしながら、銅価格については人民元の引き下げに伴う投機ポジション解消の影響が強いと考えられる。一時的な混乱に留まるとの見方が支配的である。
■米国経済は13日発表の2月の小売売上高も史上予測を上回り、好調に推移していることが伺える。18~19日に米FOMCでは引き続き債券買入れ額の縮小が行われると見られている。
■国内では2月の貿易統計の発表が19日に予定されている。赤字額の縮小規模や輸出額の前年比に注目が集まりそうである。

 

<コンセンサス予想は膠着状態>
■3月14日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、引き続き前週比で大きな変化はない。今期予想ベースでは若干マイナス、来期・再来期ベースは若干プラス。全体としてはかなり膠着しており(決算の谷間で変化が乏しい)、まだ数週間はこうした状況が続くと考えられる。妥当レンジは今回は予想ROEの低下やテクニカル要因から下方修正する。
■前回のレポートでは「15,000円台は今期ベースでは割安な水準とは言い難くなっている」と書いたが、株価の下落によって割安感が強まった。為替が円高に推移したことにより、輸出大型株の下落率が大きかった。米経済の回復による長期的な円安トレンドは変わらないと考えるならば、輸出大型株の割安感が強まっている。押し目については引き続き強気のスタンスで臨むべきであろう。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,800円~16,000円 (前回 14,450円~16,750円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月14日)

今期予想EPS 763.21 (前週 763.61円)
来期予想EPS 893.23 (前週 892.42円)
再来期予想EPS 992.07 (前週 991.37円)
今期予想PER 18.77 (前週 20.00倍)
来期予想PER 16.04 (前週 17.12倍)
再来期予想PER 14.44 (前週 15.41倍)
来期予想PBR 1.26 (前週 1.34倍)
来期予想ROE 7.84% 前週 7.85%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.74% (前週 6.62%)

*3月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1 
マーケットの急落で割安感が強まった。 

 

図2

 期待リターンは7.24%→7.36%とやや安全域に回復。 

 

図3

 コンセンサスは非アクティブに。当面は海外要因による変動が強まりそうだ。 

 

図4 

 業績変化率は小さくなっており、2014年は銘柄選択が重要になる。 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。