3月7日妥当レンジ 14,450円~16,750円
対象決算期の変更を視野に押し目は強気のスタンスで

2014/03/11

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<国内情勢から頭の重い展開か>
■昨日(10日)に発表された1月の国際収支速報で経常収支は1兆5,890億円の赤字となった。季節要因はあるものの過去最大だった2013年12月の6,386億円から赤字は2.5倍に拡大した。また、同日発表となった10-12月のGDP改定値は速報値の年率1.0%から0.7%へと下方修正された。公共投資が約定ベースから実行ベースに改訂される確報値ではさらなる下方修正が見込まれる。
■2月の景気ウオッチャー調査(10日発表)では現状判断DIが前月より1.7ポイント低下し、53.0となった。降雪の影響もあるものの駆け込み需要が早くも息切れしたとの見方もある。
■日銀の金融政策決定会合(10~11日)において追加量的緩和は行われないとの見方が占めるものの、消費税率引上げを視野に日銀へのプレッシャーは高まると思われる。
■ウクライナ情勢は、クリミア自治共和国のロシア帰属を問う住民投票が行われる。クリミアの独立、あるいはロシアへの併合を視野にロシアと欧米との対立が深まることが予想される。

 

<コンセンサス予想は先行き弱含みか?>
■3月7日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、引き続き前週比で大きな変化は見られなかったものの、今期予想ベースではややマイナスとなった。来期・再来期ベースは若干のプラスとなったものの、前週比プラス企業数はマイナス企業数を下回っており、先行きの変化は楽観できない。妥当レンジは今回も微調整に留める。
■先週、14,000円台前半は底堅く、押し目買いのポイントと申し上げたが、15,000円台回復により期待リターンは前回の7.33%から7.24%へと低下しており、今期ベースでは割安な水準とは言い難くなっている。しかし、期変わり(対象決算期の変更)を視野に置けばまだ上昇余地は大きい。押し目については引き続き強気のスタンスで臨むべきであろう。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,450円~16,750円 (前回 14,300円~16,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月7日)

今期予想EPS 763.61 (前週 765.30円)
来期予想EPS 892.42 (前週 892.14円)
再来期予想EPS 991.37 (前週 990.38円)
今期予想PER 20.00 (前週 19.39倍)
来期予想PER 17.12 (前週 16.64倍)
再来期予想PER 15.41 (前週 14.99倍)
来期予想PBR 1.34 (前週 1.31倍)
来期予想ROE 7.85% 前週 7.90%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.62% (前週 6.75%)

*3月7日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1

 一時の割安感は薄らいできた。 

 

図2

期待リターンは7.24%と株価の割安感はみられない水準。 

 

図3

NT倍率は再び上昇。マーケットを先導しているのか?それとも。 

 

図4

配当額と配当性向は緩やかに上昇。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。