1月24日妥当レンジ 14,550円~16,850円
円安・株高トレンドはまだ崩れていない

2014/01/28

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<アルゼンチン・ペソの下落を機に新興国不安広がる>
■22日のアルゼンチン・ペソの下落、23日の中国のPMI指数(製造業景気指数)の低下を機に、世界的に株価の大幅な下落が生じた。中国の理財商品のデフォルトの懸念もあり、市場は警戒感が強まっている。
■為替相場は、円ショートの巻き戻しと、資金の退避によって一時的には102円台前半まで円高となった。NY株式市場の大幅な下落もあり、週明けの27日には日経平均株価は15,000円を割り込む水準まで売られた。
■28日~29日に米FOMCが予定されており、量的金融緩和縮小が焦点になっている。どちらも(縮小されても見送られても)悪材料となる可能性があり、身動きが取り難い状況が今週は続きそうだ。

<基調は変わったのか?>
■アベノミクスに対する懸念(円安になっても輸出が回復しない、一部の輸出企業を除けば交易条件の悪化で景気は回復しない)が燻っている。景気停滞が継続するならば「円安=株価上昇」の構図はいずれ崩れる可能性があり、消費税率引上げによってそれが顕在化する可能性が指摘できる。今回の株価下落がアルゼンチンなど新興国の問題で終わるならば短期的には押し目買いの好機である。今回、資金の退避先として円高が生じたことから、まだ日本の構造的問題に対しての市場の関心は大きくないと考える。しかしながら、貿易収支(あるいは経常収支)の赤字額に対する注目は一層高まることが予想される。円安と株高の連動が終焉するときが要注意である。

<3Q決算でのポジティブサプライズは多そうだ>
■1月24日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で全期間(今期・来期・再来期)ともには若干のプラス。機械、電子部品などでプラス企業が目立った。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,550円~16,850円 (前回 14,650円~17,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月24日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月24日)

今期予想EPS 773.23 (前週 770.80円)
来期予想EPS 880.26 (前週 878.66円)
再来期予想EPS 983.58 (前週 982.13円)
今期予想PER 19.91 (前週 20.41倍)
来期予想PER 17.49 (前週 17.91倍)
再来期予想PER 15.65 (前週 16.02倍)
来期予想PBR 1.38 (前週 1.41倍)
来期予想ROE 7.88% 前週 7.85%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.60% (前週 6.50%)

*1月24日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 

 

 

 

図1

株価は妥当レンジの中位をやや下回る水準にまで調整。 

 

 図2

期待リターンは昨年11月前半と同水準の7.23%に上昇(改善)。 

 

図3 

為替と日経平均が連動するトレンドには変化なし。

 

 

 

図4 

 JASDAQ平均の相対的な割安感は無くなったように見える(大型株の割高感も薄らいでいる)。

 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。