11月1日妥当レンジ 13,800円~16,000円
2Q決算はまだ半ばだが、コンセンサスEPSは減少方向

2013/11/06

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<ECBが追加緩和の可能性?>
■ユーロは、先週一時的に対ドルで2年ぶりの高値(1.38ユーロ/ドル)を付けた後下落した。日本、米国の金融緩和姿勢が目立つ中で、ユーロ高が生じていたが、ユーロ圏消費者物価指数の下落からECBが追加的な緩和策を打ち出すとの見方が台頭した。
■10月の米雇用統計は8日(金)に発表される予定である。10月の政府機関の閉鎖の影響が予想され、非農業部門雇用者数前月比は、9月(14.8万人増)を下回ると見られている。
■国内企業の2Q決算発表はIFIS株予報のお天気マークを見ている限り、晴れよりも曇りや雨が目立っている。日経平均のコンセンサスEPSも弱含みで推移している。現在はまだ約4割の決算発表が終わった段階であるが、マーケット全体としては業績見通しがアップサイドにシフトする期待が後退していると思われる。

<前週比プラス企業数とマイナス企業数が拮抗>
■11月1日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で3期間(今期・来期・再来期)ともに比較的大きなマイナスであった。マイナスとなったのは日経平均(EPS)への寄与度の高いソフトバンク(9984)、KDDI(9433)、コマツ(6301)、日東電工(6988)などの予想EPSがマイナスとなった影響が大きい。前週比のプラス企業数・マイナス企業数ではほぼ半々であった。今回は、妥当レンジを微調整する。
■日本株の上値が重い理由の一つには、マーケットが期待していたほどには企業業績が上向いていないことにある。しかし、上向きにあることは間違いなく、年末に向けて時間の経過とともに来年度に投資家の視線は移行してゆく。引き続き、好業績企業の押し目に注目したい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,800円~16,000円 (前回 13,800円~16,050円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月1日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月1日)

今期予想EPS 775.82 (前週784.96円)
来期予想EPS 870.03 (前週879.61円)
再来期予想EPS 972.03 (前週977.49円)
今期予想PER 18.31 (前週 17.95倍)
来期予想PER 16.32 (前週 16.02倍)
再来期予想PER 14.61 (前週 14.41倍)
来期予想PBR 1.29 (前週1.28倍)
来期予想ROE 7.91% 前週7.99%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.78% (前週6.86%)

*11月1日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 妥当レンジの下限近くを株価が推移する状態が続いている。

          

株価上昇が無い中で期待リターンが低下。やや悩ましい状態。  

 

  

今期予想EPSは、日経予想(市況欄からの逆算値)とコンセンサス予想が更に乖離幅を広げている。

 

 

  

 50%を若干上回るレベルで推移。60%を超えてこないと強気になりにくい。  

    

                

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。