7月19日妥当レンジ 13,850円~16,000円
1Q決算発表で見通しの大きなプラス変化は期待し難い

2013/07/23

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<参議院選挙は予想通り与党(自民・公明)の圧勝>
■ここ1週間の注目ニュースは次のとおり。1)中国人民銀行による貸出金利の下限撤廃(7/19)、2)G20における米金融緩和縮小に伴う監視強化と協調を確認(7/20)、3)東証・大証の市場統合(7/16)、4)参議院選挙で自公が圧勝(7/21)。いずれもマーケットに対して大きなインパクトがあるわけではないが、マイナス要素ではないことは確かだろう。
■参議院選での与党勝利によって衆参のねじれが解消し、国会審議の円滑化が期待できる。TPP加盟に向けた国内外の交渉・調整の加速で、グローバル化で優位性を高める可能性を持つ企業が株式市場でも注目されるであろう。

<コンセンサス予想EPSの全期間での減少は特定企業の影響>
■7月19日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、いずれの期間(今期~再来期)において予想EPSが減少した。これはソフトバンク(9984)の予想EPSが低下したことが影響している(ソフトバンクはコンセンサス全体の内、今期ベースで6.6%を占めている)。他には大きなマイナスは見られなかった。2月期決算銘柄においては1Q決算発表で大きな変化は見られなかった。今後本格化する3月期決算銘柄の1Q決算発表でもファンダメンタルズの大きな変化は見込み難いと考える。
■日経平均の妥当レンジは、国債利回りの低下などの要因からやや上方に修正する。参議院選も終わり、再び米国や中国の経済指標への注目が高まるものと考えられる。マーケット全体としては現行水準を挟んだボックス相場が続くと考えている(2Q決算発表される11月頃まで)。今週は、材料出尽くしによる売りと、政府の成長戦略を踏まえた来年度予算を視野においた期待買いが交錯した展開になりそう。
 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,850円~16,000円 (前回 13,800円~15,950円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月19日)

今期予想EPS 798.67 (前週801.55円)
来期予想EPS 884.20 (前週886.26円)
再来期予想EPS 975.24 (前週978.40円)
今期予想PER 18.27 (前週 18.10倍)
来期予想PER 16.50 (前週 16.37倍)
再来期予想PER 14.96 (前週 14.83倍)
来期予想PBR 1.33 (前週1.32倍)
来期予想ROE 8.03% 前週8.04%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.64% (前週6.64%)

*7月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジはやや上方にシフトしつつあるものの業績見通しの変化が限定される状況では大きく上方に向うことは考え難い。                  

 


予想ROEは横ばい。1Q決算で予想EPSの上方シフト(=予想ROEの改善)が生じない限りは、本格的な上昇軌道は見込みにくいと考える。  

  

 

 

米景気回復感が強まれば円安、株高のシナリオも考えられる。

 

               

  

市場統合による大証単独銘柄の移行と重複上場の解消に伴い、東証1部とJASDAQの時価総額差は急拡大(過去のデータが意味を持たなくなった)。

         

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ