4月19日妥当レンジ 12,900円~14,950円
決算発表(新年度予想)次第ではさらに上ブレも

2013/04/23

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<G20は無事通過し、円の先安感が広がる>
■19日に採択されたG20の共同声明において“日本の金融緩和は、デフレを止め内需を支えることを意図したもの”と明記された。週明けの東京市場では100円/ドルの手前まで円安が進むとともに株価は反発した
■為替については今後どこまで、どの位のスピードで、という面はあるものの、市場では100円を越えて円安が進むことがコンセンサスになりつつあり、株価の先高感は依然として強いと考えられる。

<来期・再来期予想EPSが強いプラス基調>
■4月19日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期予想はマイナスとなったものの、来期、再来期において着実にプラスとなった。東京エレクトロン(8035)、安川電機(6506)、太陽誘電(6976)、京セラ(6971)などエレクトロニクス系の輸出株が大きくプラスに寄与している。今週から3月期決算発表が本格化することから対象決算期の変更によりプラストレンドが少なくとも約3週間にわたって続くことが見込まれる。
■アナリストのコンセンサスに比べて企業側は、(特に為替レートにおいて)慎重な予想を出すとの見方があるが、仮に会社予想が慎重であっても為替水準が維持される限り、株価へのマイナスインパクトは一時的なものに留まると考えられる。
■前回のレポートで予想ROE水準が異常値である可能性について述べたが、どうやら取り越し苦労であったようだ。今回は妥当レンジを微調整するが、対象決算期変更を考慮すれば現在の株価水準は決して割高ではない。(銘柄によっては行き過ぎているものもあるが)引き続き、中小型銘柄は大型株に対して出遅れていることから水準訂正機会が大きいと考える。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

12,900円~14,950円 (前回 12,950円~15,000円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月19日)

今期予想EPS 560.47 (前週562.64円)
来期予想EPS 772.24 (前週767.73円)
再来期予想EPS 865.75 (前週859.29円)
今期予想PER 23.76 (前週 23.97倍)
来期予想PER 17.24 (前週 17.56倍)
再来期予想PER 15.38 (前週 15.69倍)
来期予想PBR 1.38 (前週1.41倍)
来期予想ROE 8.03% 前週8.04%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.78% (前週6.72%)

*4月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジは横這いながらも高止まり。株価は下限に近づき割安感も

        

  
 期待リターンが低下し続ければバブルということなのだろうが・・・・下げ止まっており、現在の株価上昇は予想ROEの上昇による。  

 

  

 

JASDAQ(小型株)と日経平均の期待リターンの差は依然として1.84%開いており、小型株には相対的な割安感が続く。

    

  

 12ヵ月移動平均の予想EPSは前年同期を大きく上回る。

     

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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