2月22日妥当レンジ 11,000円~12,750円
日銀の次期総裁人事から緩和期待はまだ続きそう

2013/02/26

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<日銀の新総裁・副総裁候補が固まる>
■報道によれば、政府は次期日銀総裁に黒田東彦氏(アジア開発銀行総裁)、副総裁に岩田規久男氏(学習院大学教授)、中曽宏氏(日銀理事)を候補として固めたと伝えられている。3氏はいずれも「積極緩和論者」と見られており、その為、昨日の為替(円ドル)は94円台後半まで円が売られ、株価が上昇することとなった。期待先行による一時的な現象ともとれるが、コンセンサス予想からはまだ日経平均の上昇余地はあり、底堅いマーケット展開がまだ続きそうである。

<引き続き押し目は強気のスタンスで>
■2月22日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、来期・再来期のコンセンサス予想EPSが引き続きプラスであった。前週比プラスとなった企業数の比率は低下しており、前回のレポートでも言及したように1ヵ月強はコンセンサス予想が大きく動かない状態が続くと思われる。
■中小型株に関しては、1部市場とJASDAQのインプライド・リスク・プレミアム(今期ベース)の差は再び2%台に開き、中小型株に割安感があるように見える。しかし、1部とJASDAQの時価総額倍率は縮まっており、水準訂正が起こり易い状態には見えない。目先的には為替の円安方向もあり、大型株の方に優位性があると考える。
■4月下旬からの対象決算期の変更(来期→今期、再来期→来期)によるバリュエーション面でのサポートは一段と強まってゆくと考えられる。再来期の業績を基準とした場合の妥当レンジは11,950円~13,850円であることから、下限となる12,000円位までは高値に対して過度な警戒スタンスを採らずに、強気で臨みたい。今週も妥当レンジを若干上方に修正する。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

11,000円~12,750円 (前回 10,800円~12,500円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月22日)

今期予想EPS 567.20 (前週567.55円)
来期予想EPS 751.61 (前週747.94円)
再来期予想EPS 842.07 (前週837.95円)
今期予想PER 20.07 (前週 19.69倍)
来期予想PER 15.15 (前週 14.94倍)
再来期予想PER 13.52 (前週 13.33倍)
来期予想PBR 1.19 (前週1.17倍)
来期予想ROE 7.87% 前週7.85%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.77% (前週6.76%)

*2月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

妥当レンジの上昇トレンドは続いている。 

  
 225銘柄中で前週比EPSがプラスになった企業数の比率(変化無しを除く)。
50%以上がプラスよりマイナスが多い状態。上方修正はほぼ一服か。

 
再びインプライド・リスク・プレミアムの差は2%台に。今週はひとまず様子見。 

 

東証1部とJASDAQとの時価総額倍率は急速に低下(=水準訂正が進んだ)。
目先的には大型株の方が動き易い状態か。
  

      出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。