今週の注目レポート (6月7日)
【F’sセレクション】
チーフ・アナリスト藤根靖晃が、直近1週間に発行された全レポートから独自の視点(ROE・財務レバレッジ・PBR水準等)で、注目銘柄をピックアップします。
●サトーホールディングス(6287)【 2+→2+】
「25/3期の国内はメカトロが復調し、収益性の大幅改善を見込む」
24/3期営業利益は計画を若干上回り、100億円の大台に到達。国内のサプライで下期から価格改定の効果発現が進んだ。国内は、海外代理店のプリンタ在庫調整により輸出粗利が低迷したこともあり営業減益の一方、海外がプライマリーの増益やアジア・オセアニアの伸びなどで営業増益を記録し、全体では増益を確保した。今25/3期の国内は製造業が回復基調である他、サプライやメカトロの価格改定効果も見込まれる。一方、海外は代理店の在庫調整も一巡しつつあり、欧米ベース事業も販売が戻ってくるとみる。ロシア特需の一巡で海外は減益の見通しながら、国内の利益が大きく戻ることで前期並みの営業利益は確保できよう。
予想ROE:8.4% PBR:1.0倍、来期予想PER:8.9倍、来期予想EPS成長率:30%
株価(6/7終値):2,135円 Fモデルによる理論株価:3255円(6月3日by服部隆生)
●椿本チエイン(6371)【 2+→2+】
「25/3期は全事業で増収を見込み、MCとマテハンの収益改善による増益を計画」
TIWでは前回投資評価を「2」→「2+」へ引き上げた。3Q累計(4-12月)決算発表時に主要4事業(チェーン、MC、モビリティ、マテハン)全ての営業利益見通しを引き上げ、24/3期営業利益計画を従来の2桁減益から前期並みに上方修正したことを主に評価した。以降株価は昨日までに25%弱上昇した。TIWでは、24/3期着地が営業利益で上方修正した計画を更に22億円上回ったこと、25/3期は4事業全てで増収を見込み営業増益を計画したこと、25/3期計画達成の確度は高いとみることに加え、資本効率向上に向けた取り組み(25/3期は1株当たり80円の増配を予想、政策保有株式の売却を最終段階利益予想に織り込む等)がポジティブであり、25/3期TIW予想PER9.9倍等の株価指標面にも割安感があることから堅調な株価にはなお上昇余地があるとみる。投資評価は「2+」を維持する。
予想ROE:8.2% PBR:0.8倍、来期予想PER:10.7倍、来期予想EPS成長率:-8%
株価(6/7終値):5,820円 Fモデルによる理論株価:8445円(6月5日by高田悟)
●ニッパツ(5991)【 2+→2+】
「25/3期は懸架ばね改善と非自動車関連での数量回復により2桁営業増益を計画」
24/3期は2桁営業増益で着地したが、課題の懸架ばね事業を売価改善等により黒字転換させたことが評価できる。同社業績は23/3期上期(4-9月)まで好調に推移したHDD関連部品や半導体プロセス部品の需要減により23/3期4Q(1-3月)以降3四半期連続で営業減益が続いたが、24/3期3Q(10-12月)に増益に転じ、24/3期の営業利益は3Q累計(4-12月)決算公表時の同社予想を大きく上回るなど足下で業績回復が鮮明である。25/3期も懸架ばね事業の更なる収支改善と、HDD関連部品及び半導体プロセス部品の数量回復により成長費用増をこなし2桁営業増益が見込めることに加え、資本効率改善に向けた取り組みに伴う増配予想や、電動車向け部品用基板やモーターコアなどの成長分野の強化を図っていることなどがポジティブであり、25/3期TIW予想PER10.3倍などの株価指標面にも割安感があるため、投資評価は前回レポート時からの「2+」を維持する。
予想ROE:9.2% PBR:1.0倍、来期予想PER:10.5倍、来期予想EPS成長率:-3%
株価(6/7終値):1,644円 Fモデルによる理論株価:2236円(6月6日by高田悟)
TIWではコンセンサス・データ等を利用して、独自に日経平均の今期予想ベース、来期予想ベースのROE、PBR、リスクプレミアム等を算出しております。
算出したマーケット参考値と個別企業の株価指標を比較し、さらにアナリストの予想を加味して選択をしています。
※文中のROE、PBR、PER等の数値は、特に断りが無い限りは、レポート発行時に算出した値です。