1月11日妥当レンジ 9,800円~11,300円
企業業績予想も底打ちからプラス転換に

2013/01/16

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<日銀のインフレ目標導入を視野に堅調な展開>
■欧州危機の後退を象徴して南欧諸国の国債利回りが低下している。また、11月の日本の経常収支が赤字であったこともあり、先週後半に為替はユーロドル、ドル円も上昇し、円安基調が進行している。来週21~22日に予定されている日銀の政策決定会合でのインフレ目標値導入を視野に、今週も堅調なマーケット展開が見込めそうである。

<予想EPSは全ての期間で前週比プラスに>
■1月11日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、昨年6月15日以来、今期、来期、再来期の予想EPSが揃って前週比プラスとなった。前週比でプラスとなった企業数もマイナスとなった企業数を大きく上回った。プラスであったのは、2月決算銘柄のファーストリテイリング(9983)など小売関連、自動車全般、加えてエレクトロニクス関連も部分的に寄与した。マイナス側では業種はまちまちであるが、素材関連がやや目立つ状況であった。
■来期・再来期予想EPSの増加とROEの向上から妥当レンジは今週も表記の通り上方に修正する。先週に妥当レンジのベースとなるインプライド・リスク・プレミアムの基準を見直した(6.50~7.50%⇒6.00%~7.00%)が、バリュエーション面だけではここからの上昇余地には限界があると考えられる。しかし、ファンダメンタルの企業業績改善が顕在化する状況では、上昇余地(=妥当レンジ)は上方にシフトする可能性も強まってきたといえる。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,800円~11,300円 (前回 9,650円~11,150円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月11日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月11日)

今期予想EPS 570.50 (前週570.00円)
来期予想EPS 716.34 (前週712.56円)
再来期予想EPS 801.13 (前週797.56円)
今期予想PER 18.93 (前週 18.75倍)
来期予想PER 15.08 (前週 15.00倍)
再来期予想PER 13.48 (前週 13.40倍)
来期予想PBR 1.11 (前週1.10倍)
来期予想ROE 7.33% 前週7.31%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.31% (前週6.28%)

*1月11日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

予想ROE(来期ベース)が改善方向に向かっている。

 

 来期・再来期ベースの予想EPS見通しは底打ちに。

  出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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