1月4日妥当レンジ 9,650円~11,150円
妥当レンジの基準変更、大きなトレンド変換と考える

2013/01/08

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<ユーロ危機前のリスク・プレミアム水準を適用>
■TIWでは日経平均妥当レンジを算出するに当って、インプライド・リスク・プレミアム(現株価水準から逆算した株式リスクプレミアム)6.5%~7.5%を欧州危機後は適用していたが、ユーロ危機が後退し、米国経済の回復傾向も確かになってきたことから、ユーロ危機前の水準である6.0%~7.0%(来期予想ベース)に昨年11月16日に遡って変更する。この変更に伴う妥当レンジの影響は700~1,000円である。

<米国の「財政の崖」は一応は回避、雇用統計も順調>
■1月1日に米国上下院は、富裕層の定義を年間25万ドルから45万ドル超へと引き上げる妥協案で、「崖」を回避する法案を可決した。しかし、歳出面についての協議は持ち越しとなり、2ヵ月以内に歳出が止まる危機は残されている。
■1月4日発表の米雇用統計(12月)は、失業率は7.8%と前月比横這いであったが、非農業部門雇用者数の増加は15万5千人と10万人を超える水準を確保した。

<今週は方向感の無い中で、内需関連・中小型が上昇か>
■昨年12月28日並びに1月4日時点のコンセンスEPSは、年末年始の影響から小幅な変化に留まっている。しかし、為替レートは88円台/ドルにまで円安が進んでいることから、来期以降の業績見通しにはやや明るさが表れていると考える。
■日経平均株価は為替との連動性が高いことから、為替相場が今後も市場平均に強い影響を持つと考えられる。安倍首相が求める2%のインフレターゲットに関して、1月23~24日の日銀金融政策決定会合で回答を行う見通しであるが、先行して為替並びに株価に織り込まれた印象が強い。今週はマーケット全体としてはやや方向感の無い展開の中で、内需関連や中小型など出遅れ銘柄の上昇を期待する。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,650円~11,150円 (前回 9,500円~10,950円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月4日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月4日)

今期予想EPS 570.00 (前週569.85円)
来期予想EPS 712.56 (前週712.64円)
再来期予想EPS 797.56 (前週797.54円)
今期予想PER 18.75 (前週 18.24倍)
来期予想PER 15.00 (前週 14.59倍)
再来期予想PER 13.40 (前週 13.03倍)
来期予想PBR 1.10 (前週1.06倍)
来期予想ROE 7.31% 前週7.25%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.28% (前週6.34%)

*1月4日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

11月16日から妥当レンジの基準となるインプライド・リスク・プレミアムを変更しました。変更後のグラフです。

 

 日経平均と為替(円ドル)の連動性を示すグラフです。

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。