4月22日妥当レンジ 28,113円~30,357円
企業ガイダンス(新年度会社計画)の織り込みを待つ時間
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<世界経済の下押しを織り込む展開>
■19日にIMFが発表した世界経済見通しにおいて、22年の世界全体の実質成長率は1月時点の4.4%から3.6%へと0.8%下方修正された。ロシアのウクライナ侵攻による資源高を通じてインフレが加速することと各国の利上げが影響する。さらに戦争の長期化やロシアへの制裁強化による資源価格の高止まりによって下振れ余地が大きいことを示唆している。
■20日発表の3月の貿易統計(日本)は、輸出金額は円安によって膨らんだことから金額は前年同月比+14.7%と増加したが、数量ベースで▲1.5%の減少であった。輸入は数量では横ばいであったが金額は+31.0%となり、貿易収支は8ヵ月連続の赤字であった。資源高による交易条件の悪化と自動車生産のボトルネック等による輸出(数量ベース)の停滞から貿易赤字が構造化している。米国をはじめ世界的に利上げが進みつつある中で、金利差等から円安圧力が高まっている。ドル円は20日に一時129.40円と2002年4月以来の安値となった。また、同時に国内長期金利にも上昇圧力が強まっている。日銀は20日に21-26日に「連続指し値オペ(公開市場操作)」を実施することを発表した。
■21日にパウエルFRB議長は5月のFOMCにおいて、「(0.5%の利上げは)テーブルの上にある」と述べ、さらに「もう少し早く動くのが適切かと思う」と発言。これを受けて利上げやQT(緩和縮小)ペースが早まるとの観測が強まり、米株式市場は21日・22日と大幅に下落した。特にハイテク株は、19日に決算を発表したネットフリックスの会員減少から警戒感が強まったことも加わった。
■ゼロコロナ対策の継続から中国経済への見通しが厳しくなってきている、加えてウクライナ情勢には打開策が見えない中、ロシアへの制裁強化が資源価格上昇を通じて世界経済へのマイナス影響を強めている。
今週から3月期決算企業の本決算発表が本格化する。会社予想(ガイダンス)は慎重な内容になることが予想されるだけに株式市場は積極買いとなる展開は見込みにくい。ただし、ガイダンスが織り込まれる5月中旬頃には反転することも期待できるだろう。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
28,113円~30,357円 | (前回28,008円~30,250円) |
「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月22日)
今期予想EPS | 1595.98円 | (前週1600.30円) |
来期予想EPS | 1815.44円 | (前週1813.89円) |
再来期予想EPS | 1909.39円 | (前週1901.46円) |
今期予想PER | 16.98倍 | (前週16.93倍) |
来期予想PER | 14.93倍 | (前週14.94倍) |
再来期予想PER | 14.20倍 | (前週14.25倍) |
来期予想PBR | 1.16倍 | (前週1.16倍) |
来期予想ROE | 7.77% | (前週 7.76%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.11% | (前週 7.11%) |
4月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
3月期の本決算発表を経て妥当レンジは一旦は下方に傾く可能性が考えられる。その水準にもよるが、悪材料の出尽くしから市場の反転上昇に期待したい。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.8%→44.0%→46.2%→51.0%→48.8%→44.2%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、54.0%→51.3%→47.6%→56.4%→49.5%→50.0%。
今週から決算が本格化。むしろ、慎重な会社予想が示された方が決算明けの株価反転につながる可能性が大きいのだが。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |