『TIWモデルポートフォリオ』の年間レポート(2021年)

【TIW藤根靖晃が考える参考ポートフォリオ『TIWモデルポートフォリオ』】

 

有終の美を飾れず、されど後悔はなし

■ 11月に成長株の比重を高めたことが、米国の緩和縮小・利上げ観測に伴う米長期金利上昇を受けて、成長株からバリュー株へのシフトが一段と進行し、流れに逆らった組み換えによって、12月に大幅なマイナスを記録した。短期的な戦略としては紛れもなく失敗であった。しかしながら、中長期の産業・社会構造の変化に対する確信から見れば、銘柄選択自体は間違っていないと考えており、(無責任な言い方かもしれないが)ある意味で清々しい敗北感を覚えている。

■ 12月単月のパフォーマンス結果(月間)は、絶対パフォーマンスで▲1.52%、対TOPIX(パフォーマンスの単純差異)では▲4.84%、対日経平均(同)では▲5.00%であった。年間のマイナス幅の7割近くを12月が占めたことになる。採用17銘柄の月間での対TOPIXの勝ち負けは、7勝10敗であった。勝敗率以上に、大きくパフォーマンスを崩した銘柄が多かった。対TOPIXにおけるマイナス寄与は、Sun Asterisk(4053)▲27.6%、サーキュレーション(7379)▲18.4%、ストライク(6196)▲12.9%、プラス寄与では目立った銘柄は無かった。[パフォーマンス数値はいずれも対TOPIX]

■ さて、今回が10年の節目であるので10年間を振り返りたい。設定来(10年間)の累計では、絶対パーフォーマンス+536.63%(=6.37倍)、対TOPIX(パフォーマンスの単純差異)では+361.54%、対日経平均(同)では+295.52%。TOPIX100として計算した場合は2.34倍(仮にTOPIX10年間全く上昇しなかったとしてもTIWモデルポートフォリオは2.34倍になる)。また、年利平均パフォーマンスは20.3%、対TOPIXでは+8.8%と算出される。

■ 10年の内、TOPIXを上回ったのが7年、下回ったのが3年。延べ採用銘柄数は259銘柄。そのうち、絶対値でプラスは146銘柄(56.4%)、対TOPIXでプラスは119銘柄(46.0%)。なんと、TOPIXでの勝率は5割に満たないのである。それにもかかわらず、TOPIXを大きく上回るパフォーマンスを実現できているのは、1)著しく高いパフォーマンスを達成した銘柄が存在すること(+100%以上は10銘柄)、2)ファンダメンタルに関係なく対TOPIXで一定程度マイナス(▲30%前後)になった銘柄は機械的に除外していること、が大きな要因である。

■ TIWモデルポートフォリオは、100%全投資という方式をとっていた。そのため、市場の上昇局面、下降局面ともにそれを受け止めなければならず、下降局面では逃げ場がない。この10年間は比較的良好な市場環境に恵まれたことが奏功したが、逃げ場がないことで銘柄選定に注力できたことも結果的にはポジティブな要素であったと言える。個々の銘柄を絶対値ではなく、TOPIX相対で考えることは、市場の影響をある程度排除して思考できるメリットがあるので推奨したい。

■ TIWモデルポートフォリオは、「公開実験」と称して、月間レポートと銘柄入替時の不定期レポートを発行してまいりましたが、 10年の節目を迎えたことから一旦終了いたします。また、別の機会にコンセプトを再設定してお届けしたいと思います。10年間有難うございました。

 

 


出所:TIW


出所:TIW

 

 

TIWは、“個人投資家が株式投資においてプラスのパフォーマンスを得るにはどのような投資戦略を採ることが望ましいのか”、を熟慮することから始めました。その議論の中で、次の3つを実現することを目指しました。
◇ 金融・経済について専門知識がなくても株式投資が楽しめるようにする。
◇ 投資に関して膨大な時間を費やさなくても投資成果を期待できるようにする。
◇ ポートフォリオの構築後は、日々のマーケット変動に振り回されること無く、銘柄入替を余裕を持って行えるようにする。

成長性があり、足もとの業績が確りした企業をその時点のマーケットに対して比較的割安な株価水準で投資をする。答えはシンプルですが、そのためにマーケットの妥当水準を常に考え、バリュエーション方法も独自に考案しています。

TIWモデルポートフォリオは、2011年12月27日の開始以来、銘柄の新規採用、除外に関する全てを、そのタイミングにレポートとして、完全にオープンに公表しております。
毎月、月初に月間成績に関するレポートを発行しているほか、随時(不定期)銘柄入替えに関するレポートを発行しております。
採用銘柄等の詳細に関してはレポートに掲載しております。TIWレポートをご採用いただいている証券会社にてご覧いただきます。

【現在、オンライン証券では、マネックス証券、GMOクリック証券にてご覧いただいております。採用銘柄等の詳細に関してはそちらでご覧下さい。】

TIWモデルポートフォリオは、TIWの銘柄選択手法の合理性を証明することを目的に作成・提供しているものであり、パフォーマンスを保証するものではありません。あくまでも投資家への情報提供を行うものであり、それに依拠したいかなる結果に対してもTIWは一切の責任を負いません。また、レポート等の作成に関して、完全性、正確性、適時性を保証するものではありません。投資に係る最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。