7月21日妥当レンジ 25,400円~27,400円
1Q好決算でも上がらない銘柄を買うべし!!

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<米国株式指標は最高値更新>
■先週末、昨日(26日)と米国株式市場は最高値を更新した。景気ピーク説や巨大IT企業への規制強化の可能性、新型コロナウイルス変異株による感染再拡大が懸念される一方で、アメリカンエクスプレスの好業績などから消費の回復が見込まれることに加えて、GAFAMなどハイテク株への業績期待が高まっている。
■一方、日本株は米国市場の上昇を受けて回復基調にあるものの、戻りは鈍く日経平均28,000円付近で上値が重い状態にある。国内での新型コロナ感染者数の増加に加えて、米国実質金利の低下によって景気ピーク説が景気敏感の強い日本株に影響しているとの見方もある。東京オリンピックに関連したゴタゴタ続きで菅政権の支持率が一段と低下していることで政局の不透明感を強めていることも要因として挙げられるだろう。
■(投資家の期待値が高すぎるともいえるが)日本電産や日東電工など市場予想を上回る4-6月期決算であったにもかかわらず通期予想を据え置いたこともネガティブに捉えられた。
■今週は、国内では6月の失業率・有効求人倍率・鉱工業生産(30日)、米国ではコンファレンスボード消費者信頼感指数(27日)、4-6月期GDP(29日)の発表が予定されている。また、27-28日には米FOMCが開催される。FOMCではテーパリングが注目されているが、まだ具体的な開始時期に踏み込むタイミングではないと考えられているようだ。

<電子部品・関連素材メーカーに注目>
■今週の決算発表は、28日:TDK(6762)、アドバンテスト(6857)、29日:キーエンス(6861)、ファナック(6954)、新光電気工業(6967)、京セラ(6971)など、半導体・電子・FA銘柄が注目される。好決算でも通期予想の変更がないという理由から売られるようであれば、押し目は拾っておきたい。
■日本株の出遅れ感は強まっているが、新型コロナ感染が下火になるようであれば、2Q決算での上方修正期待から秋口からマーケットは大きく回復する展開も考慮に入れておきたい。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

25,400円~27,400 (前回25,600円~27,700円)

「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月21日)

今期予想EPS 1564.76 (前週1562.07円)
来期予想EPS 1675.85 (前週1675.25円)
再来期予想EPS 1780.44 (前週1781.51円)
今期予想PER 17.61 (前週17.93倍)
来期予想PER 16.44 (前週16.72倍)
再来期予想PER 15.47 (前週15.72倍)
来期予想PBR 1.15 (前週1.17倍)
来期予想ROE 6.98% 前週 6.98%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.68% (前週 6.64%)

7月21日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

 

 

ファンダメンタル(企業業績)と株価の乖離はほぼ解消された。新型コロナ感染者は高止まりだが、金メダル効果でセンチメントの回復は期待できるか?


来期予想ベースのプラス企業比率は、 60.656.5%→51.9%→59.7%→58.6%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、59.8%→51.4%→45.154.1%→54.7%。
前週はサンプル数も限定的でトレンドは見えず。決算発表が本格化する今週は上向くか?

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。