4月2日妥当レンジ 24,100円~26,100円
日経平均株価は32,000~33,000円が一旦天井か?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<日経平均3万円台回>
■昨日(4/5)、日経平均株価は3万円台を回復した。先週は、30日のNY市場で米長期金利が1.77%にまで上昇したことを受けて、株価が下落する局面もあった。しかし、①バイデン大統領が4月19日までに成人の9割がワクチン接種を受けられるようになると記者会見を行ったこと(29日)、②バイデン政権が2兆ドルの追加経済対策を公表したこと(31日)、③3月の米ISM製造業景気指数が64.7と前月より3.9ポイント上昇したこと(4月1日)、④3月の米雇用統計において非農業部門雇用者数が91.6万人増と市場予測(67.5万人増)を大幅に上回ったこと、⑤好調な経済指標の発表にもかかわらず米長期金利が上昇しなかったこと、を受けて株価は騰勢を強めた。日経平均株価は、この3営業日(4/1~5)で910円の上昇であった。
■今週は、6日にIMFの世界経済見通し、7日に20ヵ国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議、FOMC議事要旨(3/16-17分)、8日に3月の景気ウオッチャー調査が予定されている。FOMC議事要旨では金融緩和の出口についての議論(がなされたのかどうか)が焦点となるが、大きな相場変動を生じさせる可能性は低いと思われる。
<本決算の前後で一旦ピークか?>
■2月決算期企業の決算発表が本格化しつつあり、ここからは企業業績が焦点となるだろう。4月下旬からの3月期企業の決算発表が本格化する。企業業績の回復を視野に日経平均株価は32,000円~33,000円を伺う展開となるだろう。米長期金利の動向や新型コロナウイルス感染症の影響、地政学的要因などから早い段階で決算を織り込みに行くのか、やや遅行気味に織り込むのかは予想できないが、いずれにしても一旦材料の出尽くしとなる可能性が高いと考える。
■決算発表以降は、テーマや個別銘柄の物色にまた向かう可能性が高いと思われるが、今年の市場の本命は二酸化炭素排出削減であり、再エネ関連やEVなどが脚光を集めそうだ。また、ジェンダーギャップ解消を目的に育児支援やジョブ型雇用に関連したコンサルや派遣・請負ビジネスにも注目が集まる可能性もありそうだ。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
24,100円~26,100円 | (前回24,400円~26,400円) |
「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月2日)
今期予想EPS | 1340.74円 | (前週1340.19円) |
来期予想EPS | 1476.69円 | (前週1475.91円) |
再来期予想EPS | 1599.04円 | (前週1598.87円) |
今期予想PER | 22.27倍 | (前週21.77倍) |
来期予想PER | 20.22倍 | (前週19.77倍) |
再来期予想PER | 18.67倍 | (前週18.25倍) |
来期予想PBR | 1.28倍 | (前週1.29倍) |
来期予想ROE | 6.34% | (前週 6.52%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
5.73% | (前週 5.93%) |
4月2日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(4/2現在)は 28,400円(前週比▲300円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は30,100円(前週比▲300円)。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 60.4%→59.1%→51.6%→68.2%→54.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、59.1%→63.7%→60.0%→63.9%→58.9%。
ここから2月決算企業の対象決算期の移行がどのように影響するか?
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |