12月30日妥当レンジ 21,700円~23,400円
6日の米上下院合同議会は波乱模様!!

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<テッド・クルーズ等11名の上院議員が異議を申し立てる>
■2日、米共和党の有力議員テッド・クルーズ氏(テキサス州選出)をはじめ11人の上院議員(現職7人・次期4人)が6日に行われる選挙人投票の結果承認においてバイデン次期大統領の勝利に異議を唱えることを表明した。クルーズ上院議員は、同時に10日間の特別調査委員会を発足させ、今回の選挙に不正が存在したかどうかを調査することを提案している。これは1877年のヘイズ(共和党)対ティルデン(民主党)の大統領選挙において、同様に特別調査委員会が設置されたという前例に基づいている(この時は、3つの州で選挙結果をひっくり返しヘイズが逆転勝利している「1877年の妥協」)。6日の結果承認に対しては、既に共和党のホーリー上院議員が異議を唱えることを表明しているほか、下院では約140名の共和党議員が異議を唱えるとみられている。また、上院議長を兼ねるマイク・ペンス副大統領には不審な投票結果に対して無効とできる最終権限が憲法上では存在するとの解釈もある。
■既存の大手メディアでは殆ど報道されていないが、トランプ支持者を中心に多くの米国民が今回の大統領選挙には不正があったと感じており、6日にバイデン氏の勝利が確定すれば米国内で大混乱が生じる可能性がある(逆にトランプ氏が逆転勝利しても同様だろう)。(採用されるかどうかは分からないが)クルーズ氏の調査委員会設置の提案は双方に納得の機会を提供し、分断を最小化するという点で賢明かつ合理的な態度と思われる。いずれにしてもマーケットへの影響を看過できないと言える。今後の展開はなんとも言えないが、6日に大統領が確定する可能性は高くはないと考えられる。また、1月20日までに大統領が確定しない場合は、ペロシ下院議長が大統領代行となる可能性もある。

<米経済指標悪化、国内では緊急事態宣言の発令も>
■今週は米主要指標の発表が集中する(5日:ISM製造業景況指数、7日: ISM非製造業景況指数、8日:米雇用統計)。米国での新型コロナウイルス感染拡大と都市封鎖などの影響から悪化が見込まれる。国内でも緊急事態宣言の発令が見込まれることに加えて、都の飲食店への時短要請拡大が見込まれ、株式市場にもネガティブな影響が生じると思われる。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,700円~23,400 (前回21,400円~23,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月30日)

今期予想EPS 1090.08 (前週1090.24円)
来期予想EPS 1304.54 (前週1306.90円)
再来期予想EPS 1492.51 (前週1494.64円)
今期予想PER 25.18 (前週24.45倍)
来期予想PER 21.04 (前週20.40倍)
再来期予想PER 18.39 (前週17.83倍)
来期予想PBR 1.18 (前週1.15倍)
来期予想ROE 5.60% 前週 5.63%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
5.22% (前週 5.31%)

12月30日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(12/30現在)は 25,500円(前週比+400円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は26,800円。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 57.3%→57.6%→55.1%→56.6%→58.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.3%→61.956.6%→64.444.8
サンプル数が極端に少ないので、翌週を確認。

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。