10月9日妥当レンジ 19,900円~21,500円
業績底打ちは確実視できる、株価底上げが始まった
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<トランプ大統領感染のドタバタ劇>
■先週は、新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領の入退院や追加経済支援策に絡んだドタバタ劇と、副大統領候補討論会(7日)が攪乱要因ではあったが、市場は比較的確り推移した。
■国内経済指標では、9日発表の毎月勤労統計・現金給与総額ならびに家計調査・消費支出(いずれも8月分)は前年同月比マイナスが続いているが、景気ウオッチャー調査(9月分・8日発表)は先行き判断DIにおいて48.3と前月(42.4)から大きく改善した。これは「GO TO」キャンペーンの東京除外解除への期待と考えられる。
■米国の新規失業保険申請件数(10/3終了週・8日発表)は、840千件と高止まり傾向が続いている。
■今週の経済指標では、13日:IMF世界経済見通し、15日:米国・新規失業保険申請件数(10/10終了週)、16日:米小売売上高(9月)、ミシガン大学消費者信頼感指数(10月速報)などが注目される。また、15日にはEU首脳会議が予定されており、英国とEUの自由貿易協定(FTA)交渉の期限を迎える。期限延長との見方が多勢ではあるが、決裂するリスクもあることを留意しておきたい。
<国内企業業績は底入れ確実>
■10月9日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、来期・再来期ベースが前週比でプラスとなった。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は、全期間で50%を上回っただけでなく、来期は63.8%と73週ぶりに、再来期は60.9%と49週ぶりに60%を超えた。企業の業績修正発表もこの2週間は上方修正が下方修正を大きく上回った。
■9日発表の安川電機の21/2期見通しは純利益横這い(0.9%減)と堅調であった。発表される企業業績見通しは赤字幅や減益幅が縮小されるものが多い。米大統領選の混沌や新型コロナウイルスの感染傾向を睨みながらではあるが、株価上昇の下地は揃いつつあると考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
19,900円~21,500円 | (前回19,600円~21,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月9日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月9日)
今期予想EPS | 973.87円 | (前週974.38円) |
来期予想EPS | 1249.47円 | (前週1245.48円) |
再来期予想EPS | 1435.26円 | (前週1433.42円) |
今期予想PER | 24.25倍 | (前週23.64倍) |
来期予想PER | 18.90倍 | (前週18.49倍) |
再来期予想PER | 16.46倍 | (前週16.07倍) |
来期予想PBR | 1.09倍 | (前週1.06倍) |
来期予想ROE | 5.78% | (前週 5.75%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
5.53% | (前週 5.58%) |
10月9日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
参考値(RP=リスクプレミアム 6.0%)の日経平均株価(10/9現在)は 23,400円(前週比+400円)。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.8%→42.7%→45.5%→47.5%→63.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、49.4%→47.2%→55.2%→44.0%→60.9%。
来期ベースは73週振り、再来期ベースでは49週振りの60%超。業績回復トレンドが始まったと考える。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |