10月2日妥当レンジ 19,600円~21,200円
徐々に高まる企業業績の回復感から下値はサポートか

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<2つのサプライズにも大きな波乱無く>
■先週は、1日に東証がシステム障害によって終日停止したことや、2日にはトランプ大統領の新型コロナウイルスへの感染が伝えられたが、市場には大きな波乱は生じなかった。5日にトランプ大統領が退院したことや民主党と共和党の合意が近いとの報道を受けて、NY市場が高騰。再びリフレ相場が色濃くなっている。
■30日発表の、9月の中国製造業PMI(国家統計局)は、51.5と前月比+0.5ポイント、同(財新・マークイット)は53.0と前月比▲0.1ポイントであり、ほぼ市場予測並だった。日銀短観の大企業製造業業況DI(9月・1日発表)は▲27と前回(▲34)から改善したが、市場予測(▲22)を下回った。 国内失業率(8月・2日発表)は3.0%と前月比0.1ポイント悪化、有効求人倍率も前月の1.08倍から1.04倍へと悪化した。
■1日発表の米ISM製造業景況指数(9月)は55.4と前月比0.6ポイント悪化(市場予想並み)、新規失業保険申請件数(9/26までの週)は837千件と前週(873千件)から改善。2日発表の米雇用統計は、失業率が8.4%→7.9%へと改善したが、非農業部門雇用者数は66.1万人の増加に留まった(予想は90万人)。5日発表のISM非製造業PMI(9月)は市場予想(57.0)も大きく上回る57.8(前月比+0.9ポイント)であった。
■今週は国内では景気ウオッチャー調査(8日発表・9月分)、FOMC議事録(7日発表)、米新規雇用保険申請件数(8日発表・10/3までの週)、が注目されるほかは目立った経済指標発表はない。7日に副大統領候補であるペンス副大統領とハリス上院議員の討論会であるが、それ以上にトランプ大統領の動向に注目が集まりそうだ。
■2月期・8月期の決算発表が始まっている。しまむら、ニトリHDなど良好な内容や、従来予想ほどは悪くないといった報道も眼をひく。また、3月期決算企業の業績見通しの修正もポツポツ出てきているが、下方修正よりも上方修正が多いようだ。
■「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)の再来期ベースは、再び40%台に沈んだ。2日時点の日経平均の参考値(リスクプレミアム6.0%で算出)は前週比-100円の23,000円であった。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

19,600円~21,200 (前回19,600円~21,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月2日)

今期予想EPS 974.38 (前週974.73円)
来期予想EPS 1245.48 (前週1243.43円)
再来期予想EPS 1433.42 (前週1432.48円)
今期予想PER 23.64 (前週23.81倍)
来期予想PER 18.49 (前週18.66倍)
再来期予想PER 16.07 (前週16.20倍)
来期予想PBR 1.06 (前週1.06倍)
来期予想ROE 5.75% 前週 5.70%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
5.58% (前週 5.54%)

10月2日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

参考値(RP=リスクプレミアム 6.0%)の日経平均株価は 23,000円(前週比-100円)。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 47.748.842.745.547.5
再来期予想ベースのプラス企業比率は、47.849.447.255.244.0
来期ベースは20週連続で50%割れ。前週50%台を回復した再来期ベースも再び50%割れ。

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。