2月14日妥当レンジ 20,900円~22,600円
国内感染者数が増加すれば危機モードが広がる

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<10-12期実質GDP▲6.3%の衝撃>
■日本の10-12月期実質GDP(年率換算)は▲6.3%と事前予測(▲3.9%)を大きく超えるマイナスであった。前回の消費増税後の14年4-6月期(▲7.4%)に比べれば小さいとの見方もあるが、駆け込み需要が控えめであったことや、軽減税率やキャッシュレスポイントの導入など多くの対策が講じられたことを鑑みれば、景気実態の悪さは深刻である。
■日本経済新聞によれば、4-12月期の上場企業(1,713社)の純利益は前年同期比▲12%のマイナスであった。
■新型肺炎の影響が強まる1-3月期においては一段の企業業績の悪化も予想され、経済のマイナス成長が続く可能性が高い。

<「コンセンサスDI」は全期間で2週連続50%割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、全期間で予想EPSが前週比プラスとなった。ただし、12月決算期の対象決算期の移行による影響が今期(+16.88円)、来期(+9.41円)、再来期(+7.72円)あった。したがって、来期は実質マイナスであり、今期・再来期も小幅なプラスと言える。「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業の比率)は2週連続で全期間で50%を割った。
■決算発表が一巡したことから本来であれば予想EPSの変化は暫くは小幅に留まるところであるが、新型肺炎の影響によるサプライチェーンの機能不全や消費停滞の深刻化が進むような様相であれば一段と悪化(予想EPSの減少)が進むことが考えられる。
■ここからは国内において感染ルートが不明な感染者の拡大も懸念され、心理的な警戒感も高まることも予想される。
■米国市場では「景気減速懸念と金融緩和期待」から株と債券が同時に買われている。悪材料への反応は薄く、楽観が支配しているが、米国市場への日本株の連動は弱まっている。
■欧米市場が堅調であっても日本やアジア市場は重く、NT倍率の上昇(13.93倍:17日)は投機筋の買いとも考えられ、もし、NY市場が下落に転じれば、インパクトの強い崩落が生じるリスクもあると考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,900円~22,600 (前回21,000円~22,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月14日)

今期予想EPS 1275.79 (前週1252.72円)
来期予想EPS 1376.41 (前週1374.83円)
再来期予想EPS 1504.95 (前週1496.05円)
今期予想PER 18.57 (前週19.02倍)
来期予想PER 17.21 (前週17.33倍)
再来期予想PER 15.74 (前週15.93倍)
来期予想PBR 1.10 (前週1.12倍)
来期予想ROE 6.38% 前週 6.45%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.19% (前週 6.23%)

2月14日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  


12月決算期企業の対象決算期の移行で予想EPSはやや押し上げられたが・・・。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 45.342.245.344.345.7
再来期予想ベースのプラス企業比率は、42.746.251.8%→44.043.3
2週連続で全期間50%割れ!!(今期予想ベースは37.6%)

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。