11月22日妥当レンジ 21,000円~22,700円
「香港人権法案」への大統領署名に注目!
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<米中貿易協議の部分合意に市場は楽観的であるが>
■先週は、米中貿易協議の部分合意に関して楽観的な観測に支えられて、株価は高値圏を維持する動きであった。しかしながら、香港区議会議員選挙(地方選挙)における民主派の圧勝(24日)、国際調査報道ジャーナリスト連合によるウイグル族の抑圧に関する中国当局の内部文書の公表(24日)、米米連邦通信委員会(FCC)によるファーウェイ及びZTE製品の事実上の使用禁止決定(22日)など、緊迫感が継続している。
■(上院との調整のため)米議会下院で20日に再採決された香港人権法案に対してトランプ大統領は10日以内に署名あるいは拒否権発動の判断が求められる。仮に拒否権を発動しても上下院それぞれ3分の2の賛成で成立することがほぼ見込まれる状況にある。トランプ氏の態度が今後の米中協議に影響を与えるとするならば、拒否権発動も有り得るが、中国に阿ったという印象が支持率に与える影響を考慮する可能性もある。
■ウクライナ疑惑を巡る米議会下院の公聴会では、トランプ氏が不正調査を命じたという直接的な証拠は得られなかったことから、共和党の離反は抑えられる可能性が高そうだ。
■国内企業業績に関しては、半導体関連など一部の企業に関してはこの下期から、全体としても来期からの回復をアナリストコンセンサスは見込んでおり、それがマーケットを強気にしているのであるが、まだ見極められる段階では無いと考える。10月の貿易統計では輸出入ともに前年同月比で大きく落ち込んだ。輸出のマイナスは10ヵ月連続である。10月の消費者物価指数(22日)もコア総合で(消費増税を加味した)実質で前年比0.2%と低下した。まだ前のめりに強気になるのは時期尚早と考えている。
< 「IFIS/TIWコンセンサス225」全期間で前週比マイナス>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、全期間で前週比マイナス。 「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業の比率)も全期間で再び50%を割れた。当面は経済・企業業績で方向感が乏しい中で政治的なアクションや発言によって揺さぶられる展開が続きそうだ。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
21,000円~22,700円 | (前回21,000円~22,700円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月22日)
今期予想EPS | 1289.15円 | (前週1297.80円) |
来期予想EPS | 1395.88円 | (前週1402.12円) |
再来期予想EPS | 1515.30円 | (前週1516.11円) |
今期予想PER | 17.93倍 | (前週17.96倍) |
来期予想PER | 16.56倍 | (前週16.62倍) |
再来期予想PER | 15.25倍 | (前週15.37倍) |
来期予想PBR | 1.10倍 | (前週1.10倍) |
来期予想ROE | 6.62% | (前週 6.59%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.50% | (前週 6.47%) |
11月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
長期金利の上昇からリスクフリーレートを-0.085% (11/22現在)とした場合の妥当レンジ は21,200~23,000円と前週と変わらず。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 49.0%→50.4%→51.4%→45.6%→40.4%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、62.2%→44.1%→51.4%→50.8%→42.6%。
再び50%割れ、消費者物価指数や小売統計(スーパー・百貨店)の10月分は厳しい内容。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |