7月26日妥当レンジ 20,600円~22,300円
イベント・指標発表が集中する中、波乱の展開を予想

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<FOMCで材料出尽くしか?>
■先週も月末(30-31日)の米FOMCでの緩和期待と、米中通商協議(30-31日)が、3ヵ月ぶりに行われることへの期待から米国株式は堅調に推移。 25日のECB理事会において、(米FOMCを視野においた)追加利下げ並びに量的緩和政策の再開を検討する方針が示されたことから、日銀も金融政策決定会合(29-30日)での何らかの対応が行われるとの期待から、日本株も上値は重いながらも底堅い展開が続いた。
■26日に発表された4-6月期の米GDP速報値は、年率換算で前期比+2.1%と市場予想(+1.8%)を上回った。個人消費や(閉鎖解除による)政府支出が牽引したが、設備投資、輸出、住宅投資はいずれもマイナスだった。
■IMFは23日に改定した世界経済見通しにおいて、世界全体の成長率を、19年、20年ともに0.1ポイント下方修正した。
■国内企業業績も日経新聞社が29日までに行った4-6月期の集計では、非製造業は58%が前年同期比で増益であったが、製造業が68%が減益であった。30日に公表された日銀展望レポートでは、19年の成長率見通しは前回の0.8%から0.7%へと引き下げられた。
■今週は、月末月初の経済統計発表が集中する。米国:ADP雇用統計(31日)、ISM製造業PMI(1日)、米雇用統計(2日)、中国:製造業PMI(国家統計局・31日、財新・1日)、ユーロ:GDP速報値(31日)、など。
■米FOMCでは0.25%の利下げは織り込み済みであるが、今後のFRBのスタンスへの注目度が高く、パウエル議長の会見によっては(上下に)振られる展開も予想される。米中貿易協議への期待剥落や中国経済のもう一段の下ブレの可能性にも注意が必要であろう。

<「コンセンサスDI」は、全期間で6週連続50割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、全期間でマイナス。「コンセンサスDI」も全期間で6週連続50割れとなった。まだ、通期予想を下方修正する企業は限定的であるが、アナリスト・コンセンサスの下方トレンドが加速する可能性には留意したい。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,600円~22,300 (前回20,600円~22,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月26日)

今期予想EPS 1379.89 (前週 1384.09円)
来期予想EPS 1434.90 (前週1441.90円)
再来期予想EPS 1547.65 (前週1557.69円)
今期予想PER 15.70 (前週15.51倍)
来期予想PER 15.09 (前週14.89倍)
再来期予想PER 13.99 (前週13.78倍)
来期予想PBR 1.03 (前週1.02倍)
来期予想ROE 6.85% 前週 6.88%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.92% (前週 6.96%)

7月26日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  


1

株価はやや上向いたものの、妥当レンジは予想EPSの減少から横這い。

 

 

2

来期予想ベースのプラス企業比率は、 38.444.838.542.248.1
再来期予想ベースのプラス企業比率は、43.048.544.947.045.1
有効サンプル数は著しく少ないものの、引き続き
50割れ。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。