7月19日妥当レンジ 20,600円~22,300円
1Q決算発表ピーク突入、FOMC通過で緩和期待は終焉に

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<緩和期待の株高は何時まで続くのだろう?>
■先週発表された米国経済指標は、NY連銀製造業景気指数(15日)、米国小売売上高(16日)、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(18日)、ミシガン大学消費者信頼感指数(19日)など比較的良好・堅調な内容が多かった。底堅い米国経済と利下げという本来は二律背反する要素の両取りが米国株の押し上げを齎している。
■その一方で、国内は景況感が優れない中で、円高圧力が高まっている。6月の貿易統計は輸出入ともに前月に続いてマイナス。特に輸出は金額・数量ともにマイナスが続いている。中国向け輸出は前年同月比▲10.1%とマイナス幅が二桁になった。参議院選挙(21日)が終わったことで、日米貿易協議が本格化すると見られる。まだ米国側の具体的な要求は明らかではないが、自動車業界への影響や緊迫が高まるホルムズ海峡への“有志連合” への日本の協力など高いハードルが推察される。10月の消費増税後の影響も不安材料だ。
■今週から来週にかけては、ECB(25日)、日銀(29-30日)、FRB(30日-31日)と金融政策決定会合が続く。緩和期待への思惑から株価が浮揚する局面も考えられるが、材料出尽くしとなる可能性も考えられる。それ以上に今週から本格化する1Q決算での企業業績が注視されるであろう。既に公表あるいは観測記事で、AGC、NOK、KOA、いすゞ、ディスコなどの不振が伝えられている。

<「コンセンサスDI」は、全期間で5週連続50割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、再来期ベースがプラスとなったが、今期・来期はマイナス。来期の前週比マイナスは10週連続。「コンセンサスDI」も全期間で5週連続50割れとなった。
■イラン情勢、英国新首相の決定、沈静化が見えない香港のデモ・暴動、など世界的には波乱含みの状勢が続く。全体的には国内企業の業績悪化懸念が強まる中で、一部の好業績企業に資金が集中する傾向が強まっており、爬行色の強い展開がまだ続きそうだ。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,600円~22,300 (前回20,700円~22,400円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月19日)

今期予想EPS 1384.09 (前週 1385.58円)
来期予想EPS 1441.90 (前週 1445.93円)
再来期予想EPS 1557.69 (前週1557.63円)
今期予想PER 15.51 (前週15.65倍)
来期予想PER 14.89 (前週15.00倍)
再来期予想PER 13.78 (前週13.92倍)
来期予想PBR 1.02 (前週1.03倍)
来期予想ROE 6.88% 前週 6.89%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.96% (前週 6.93%)

7月19日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  


1

妥当レンジは目だった動きは今のところ無いが・・・・。

 

2

来期予想ベースのプラス企業比率は、 38.938.444.838.542.2
再来期予想ベースのプラス企業比率は、45.543.048.544.947.0
サンプル数は決算発表前で少ないもののトレンドは相変わらず
50割れ。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
 

 

3

12ヵ月フォワードの妥当レンジ下限が日経平均株価を下回ってきた。

 

4

会社予想(通期経常利益)の下方修正はまだ目だった動きは無いものの、下方修正が少し目立ってきている。

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。