4月26日妥当レンジ 21,300円~23,100円
コンセンサス予想は20年度以降は依然として楽観的

2019/05/07

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<GW最終日にトランプ大統領からの贈り物>
■GW(10連休)は大きな波乱なく終えようとしていた6日(日本時間深夜)に、トランプ大統領は中国への(2,000億ドル分の中国製品に対して)関税を10日に25%に引き上げるとツイッターで表明した。制裁関税の対象ではない3,250億ドル分も今後25%への引き上げを視野に置く。
■8日から中国の劉鶴副首相がワシントン入りして再会談をする予定であるが、妥結に至るか決裂するかの大きな分岐点にある。関税引上げは、中国や中国への輸出を行っている日本をはじめとした諸外国だけではなく、米国経済にも大きく影響する。4月の米雇用統計において非農業部門雇用者数の増加が予想を大きく上回って好調だったことから強く意識されていないが、4月のISM製造業PMIは、前月の55.3から52.8へと急落した。雇用統計でも製造業の就業者数の伸びは限定的である。
■10日に向けて米中貿易協議を見守りつつ、リスク回避の動きが今週は続くものと考える。

< 「IFIS/TIWコンセンサス225」来期・再来期はプラスだが >
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、来期・再来期で前週比大きくプラスであった。33銘柄が決算発表によって対象決算期の翌期への移行が行われたことが影響している。ただし、今期はマイナスとなっており、新年度(19年度)の見通しが厳しいことが示唆される。
■3/29時点の来期(新・今期)予想EPSは1467.33円、4/26時点の今期予想は1357.95円と大きな乖離があり、今後の決算発表を経てどこまで近接できるかに注目したい。また、3/29時点の再来期(新・来期)の1511.03円に対して、4/26時点の来期は1507.55円と近接しており、アナリスト予想が来期に対しては依然として楽観的であることが伺える。
■日経平均株価の妥当レンジは、(決算発表前のコンセンサス予想通りであれば)22,000~23,800円へと上方シフトすると前回の当レポートに書いたが、その水準は厳しくなりつつあると考える。米中貿易問題の行方によっては、一段とレンジは下方にシフトすることも考えられる。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,300円~23,100 (前回20,600円~22,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月26日)

今期予想EPS 1375.95 (前週 1380.19円)
来期予想EPS 1507.55 (前週 1468.18円)
再来期予想EPS 1562.13 (前週 1510.08円)
今期予想PER 16.39 (前週 16.09倍)
来期予想PER 14.76 (前週 15.12倍)
再来期予想PER 14.25 (前週 14.70倍)
来期予想PBR 1.08 (前週 1.08倍)
来期予想ROE 7.32% 前週 7.14%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.18% (前週 6.99%)

4月26日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  





図1
新・今期(
19年度)については厳しく見ているものの、新・来期(20年度)のコンセンサスは楽観的


 

図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
44.942.345.145.565.6
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.1%→40.849.540.260.2
対象決算期の移行により一時的に跳ね上がっている。
今期については、慎重スタンスであるものの、来期・再来期のコンセンサスはまだ楽観姿勢が残っている。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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