3月8日妥当レンジ 20,300円~22,000円
トランプ大統領弾劾の可能性が無くなった!?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<悪材料に反応するものの、流動性相場はまだ継続>
■先週は、中国の全人代(5日~)において発表された財政政策が市場の期待より低かったこと、1月の景気動向指数(7日)の一致指数が3ヵ月連続で低下し、景気後退期に入った可能性が指摘されること、2月の中国貿易統計(8日)で輸出の減少幅が▲20.7%と大きかったこと、などが株価を押し下げる要因になった。2月の米雇用統計(8日)では、非農業部門雇用者数が前月の反動もあり僅か2万人増であったが、失業率の改善、平均賃金が前年同月比+3.4%と上昇率を強めたことから株価への影響は比較的軽微であった。
■欧州中央銀行(ECB)は、7日の理事会で「少なくとも年末まで」は利上げを行わないことを決定すると同時に9月に新たな資金供給制度(TLTRO3)を開始することを決めた。
■11日のワシントンポストで、米民主党のペロシ下院議長は、やむを得ない超党派の理由が無い限り、トランプ大統領を弾劾すべきではないとの見解を示した。これに先立って8日のロイター/イプソスが公表した世論調査で、米国民の大半が、2016年の大統領選でトランプ氏陣営がロシアと協力し、当局の捜査を妨害したと看做しているにもかかわらず、40%の人がトランプ大統領を支持しているとの結果が示された。
■今週は、英国のEU離脱に関して議会採決が12日に予定されているが、政府案は否決され、協議期間の延長が14日に決定されるとみられている。他には、日銀金融政策決定会合(14-15日)、中国鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資(14日・1-2月分)が予定されている。
<「コンセンサスDI」は来期ベースで20週連続50%割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、依然として低下傾向を辿っており、「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)もまた、全期間で50を下回る状態が続いている。
■景気減速感が強まる中で、金融緩和・財政政策への期待等から株式市場は比較的堅調さを保っているものの、何らかのトリガーによって暗転する可能性がある。3月のFOMC(19-20日)がその可能性の一つであることを頭の片隅に置いておきたい
◇日経平均妥当水準(レンジ)
20,300円~22,000円 | (前回20,700円~22,500円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月8日)
今期予想EPS | 1376.39円 | (前週 1382.26円) |
来期予想EPS | 1469.57円 | (前週 1476.31円) |
再来期予想EPS | 1512.92円 | (前週 1518.00円) |
今期予想PER | 15.28倍 | (前週 15.63倍) |
来期予想PER | 14.31倍 | (前週 14.63倍) |
再来期予想PER | 13.90倍 | (前週 14.23倍) |
来期予想PBR | 1.06倍 | (前週 1.09倍) |
来期予想ROE | 7.40% | (前週 7.43%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.30% | (前週 7.25%) |
3月8日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.3%→40.6%→39.3%→38.2%→32.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.0%→34.8%→48.1%→41.2%→37.2%。
来期ベースでは20週連続50%割れ。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |