日経平均38,000円台で止まったまま膠着状態…日本株どうなる?~2024年5月16日版~
”完全なる膠着状態”まさにこのような表現が適した状態になってきました。行き過ぎた表現かもしれませんが「恐ろしいほどの膠着状態」と言っても良いかもしれません。
ここまで株価が変動しないもの数年単位で見てもなかなかないでしょう。もし、これがかつてのように日経平均株価が1万円を切る株式市場であれば、この変動幅も日々変動がある動きになるでしょう。
しかし、今は1万円を切る水準ではなく、2万円…3万円…4万円をこえる水準まで上昇し、そこから下落したとはいえ、大きく見れば4万円と表現しても良い水準です。
その水準で200円に届かない変動が続き、割合で見てもときおり1%以上の変動も見られるものの、ほとんどが”1%未満”の動いていないと同等の動きになっています。
先週に続き、まるで株式市場が固まってしまったかのような状態です。それに伴い、次の展開も読みにくい難しい状況です。はたして、この膠着状態はいつ終わるのでしょうか。そして、そこからどのように動き出すのでしょうか。
そこで今回も、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/4/30~2024/5/15の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような6つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
- OVER指数…上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数
- RISK指数…大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数
※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください
これらの指数をふまえると、今週の株式市場は日経平均株価と株式市場全体が、”やや連動している週”でした。
ただし、その前提として「まだ無風状態に近い」ということがあります。ゴールデンウィーク前後の無風状態よりは風が出てきましたが、まだ株式市場を牽引するような風は吹いていません。
あくまでも、そのような中で株式市場全体と日経平均株価がやや連動している状況でした。ただし、詳細を見ると、無風状態よりも風が吹いてきたことにより、小さな変化も出てきています。詳細を見てみましょう。
まず週初めの5/13は前週の5/10のトレンドの発生状況よりは落ちたものの、それ以前の無風状態よりもトレンドが発生してきました。
また空売り指数も、前週の5/9から水準が上がってきましたが、その水準を下げることなく維持してきました。また、下落傾向を示す底値指数も、前週よりも更に水準が下がりやや状況に変化が見られました。
5/14になると、上昇傾向を示す天井指数の水準はやや落ちたものの、空売り指数の水準が上がりました。下落傾向を示す底値指数も多少水準は上がったものの、気にするような上がり方ではありませんでした。
5/15になると、上昇傾向を示す天井指数や空売り指数の水準が下がり、反対に下落傾向を示す底値指数の水準が上がり始めました。しかし、こちらも心配するような上がり方ではありませんでした。
詳細を見ると分かるように、前週は分析のしようがない無風状態でしたが、今週は1日単位で見ても、多少の変化が出てきていることが分かります。
あくまでも前週と比較しての変化ではありますが、特に大きな変化は「上昇傾向」が小さくではあるが出てきたことでしょう。
4/10からゴールデンウィークに差し掛かるあたりまでは、日経平均株価が維持していた高値圏からズルズルと下落する状況でした。それに伴い、株式市場全体も底値指数が上昇し小さな下落傾向が生まれました。
そこから無風状態になり、株式市場が完全に膠着したうえ、ここから上下のどちらに進もうとしているか全く分からない状況に至りました。
しかし、今週の詳細を見ても分かる通り、「ズルズルとした下落→膠着」の流れから、多少上昇に向かおうとしている動きが見受けられます。
ただし、ここは日経平均株価だけを見ると完全な膠着とも言える状態ですので、なかなか状況を掴むのが難しかったでしょう。
そのようなことをふまえると、今週の株式市場は膠着状態ではあるものの「完全な膠着」か「多少上昇の動きが出てきている」かの判断をするのに差異が生じた週だと言えます。
日経平均株価だけを基準にしている人にとっては、引き続き全く状況が分からなく、私たちのように株トレンド指数を基準にしている人にとっては、まだトレンドとは言えないものの前週とは違うことが分かります。
そのようなこともあり、実際の損益への影響は少ないですが、株式市場の動きを見るうえでのメンタル的な部分が、この両者では違っていたでしょう。
日経平均株価だけを基準にする人は、膠着状態を見てイライラするか諦めるかの選択で、株トレンド指数を基準にする私たちにとっては、方向感はないものの上昇に動く可能性があるかもしれないと考えることができます。
些細なことかもしれませんが、この状況の捉え方の違いが、今後トレンドが発生したときに乗れるかどうかが別れる部分でもあります。そのようなところで、この両者には差異が生じたでしょう。
同じ膠着状態の株式市場を見ても、その内訳が分かる人と分からない人では、このような部分で違いが出てきます。
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
日経平均株価を基準に見ると、引き続き4月下旬から横ばいに推移していることが分かります。5月に入ってからは水平とも言える状態です。ここからも”完全なる膠着状態”と言っても良いことが分かります。
この動きを見る限り、やはりボックス圏の下値目安は37,000円付近で上値目安は39,000円付近だと考えられます。
円単位で捉える2,000円程度の範囲でのボックス圏なので大きく感じるかもしれません。しかし、割合で見ると今の日経平均株価の水準ですと、小さな変動だと考えられます。
また違った見方をすると、下値37,000円付近、上値39,000円付近を抜けない限りは、引き続き方向感なく推移すると予測されます。
もし、これから上昇や下落があるとしても、よほどの勢いがない限りボックス圏内での推移にとどまるでしょう。円単位で見ると幅があるので、トレンドのように錯覚しやすいところもありますので、変動は割合で捉えるのが良いでしょう。
一方、株トレンド指数を基準に見ると、日経平均株価は膠着状態ですが、前週よりも動きが出てきていることが分かります。
もちろん、まだ株式市場を牽引するようなトレンドではありませんが、ボックス圏の中で多少上昇に向かって動こうとしていることが分かります。
また、一つの良い材料としては空売り指数の水準が上がってきていることでしょう。空売り指数は上昇にブレーキを掛ける役割ですが、データ分析をすると天井指数が単独で伸びても良い動きではないと判断できます。
それをふまえると、直近は大きな上昇ではないものの、天井指数の上昇とともに空売り指数も上昇しているので、ここから動きが出てくる可能性があるかもしれません。
ただし、前提としてボックス圏を推移していることがありますので、あくまでもこの動きの変化はボックス圏の中での変動にとどまる可能性が高いと考えておくのが良いかもしれません。
なお、このように2ヶ月間で見ると、日経平均株価だけを基準に相場分析する人と、株トレンド指数を基準に相場分析する人では、週単位で見るよりも両者に差異が生じています。
日経平均株価だけを見ると、今週の状況はこんなことがあるのかと思うような膠着状態に見えるでしょう。反対に株トレンド指数を見ると、その裏側で動きが出てきていることが分かります。
前述の通り、今の時点では実際の損益に影響は小さいと思われますが、ここから次の動きに向けた準備を考えると、後々この捉え方の違いが損益に影響してくるかもしれません。
では、補足として株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグはありますが最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。
- 外国人投資家:やや買い→やや買い
- 個人投資家:やや売り→やや売り
- 日本の機関投資家:わずかに買い→わずかに買い
最新のデータでは、このような需給バランスでした。これを見る限り、引き続き需給バランスは三者三様であることもあり「中立」の状態であることが分かります。
ただし、各々のポジションを詳細に見ると、個人投資家と日本の機関投資家は前週よりもそれぞれの動きが大きくなっています。
つまり、ここからも分かる通り、需給バランスは中立で膠着状態ではありますが、各投資家に動きは出てきていることが分かります。
タイムラグのあるデータではありますが、この需給バランスからも日経平均株価のような膠着状態ではなく、変化のある中で偶然に需給バランスが中立になり、それが日経平均株価の膠着状態を招いたように見受けられます。
そういった意味では、株トレンド指数に動きが対象出てきた通り、ほぼ日経平均株価が動かない裏側で、次の動きの準備が進む可能性があるでしょう。
もしかすると、運良く日経平均株価の動きに、裏側の動きが反映されることもあるかもしれませんが、基本的には、この株トレンド指数で日経平均株価では見えない裏側の動きを抑えておくと良いでしょう。
そして、この膠着状態を抜け出すとき、ボックス圏の範囲内ではありますが、上下のどちらに動く可能性が高いかをいち早く察知できるようにしておくと良いでしょう。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2024/5/15(水)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。
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この記事を書いている人
トレード歴12年以上の現役トレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。
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