トランプ政権の「市場との対話」
当社サイトはこちら→三井住友トラスト・アセットマネジメント 投資INSIDE-OUT
◆米国世論はトランプ政策に一定の支持
下図の青折れ線は米大統領の支持率を示しています。足元で40%台半ばと、就任100日時点(4月29日)としては、歴代政権の中で記録的な低水準となっています。また、市場参加者を対象にした著名な投資情報週刊誌のアンケートでも、関税政策への支持は20%にとどまっていました。
もっとも、バイデン政権の終盤に比べると世論は高い支持を保っていることがわかります(下図)。日本の石破内閣支持率は30%前後で推移しているほか、世界の金融市場は「不支持」を示しているとも考えられます。これらと比較しても、米国世論はなお、トランプ政策を一定程度支持しているとの見方もできるでしょう。
◆バンス副大統領が語った「経済関係のリバランス」
世論の一定の支持の背景は何でしょうか。バンス副大統領が4月にインドで行った講演にヒントがあったように思います。副大統領は、自身の出身地・オハイオ州でかつて中心産業だった製造業が衰退した経緯を紹介しつつ、「世界との経済関係のリバランス(再均衡)」を目指していると熱弁しました。ちなみに、ベッセント財務長官も5月5日のWSJへの寄稿論文で「経済再均衡」を強調しました。この「リバランス」の本質は、弱体化してしまった米産業界の立て直しということのようです。バンス氏はこの考え方が「米国第一主義」的な発想では決してなく、各関係国との共通の優先事項に基づく貿易協定を再構築するものであるとも繰り返し訴えていました。こうしたメッセージは製造業の関係者等には届きやすいのかもしれません。
金融市場は今のところ「リバランス」を歓迎していないように見えます。高い相互関税を突如発表するなど手法がやや乱暴だったことも影響しているでしょう。他方、バンス副大統領の講演が市場でそれほど注目されなかったこと等により、政権の考えが市場に十分に浸透していない可能性もありそうです。
現在のトランプ政権が注力すべき取り組みは、政策意図を丁寧に説明する「市場との対話」なのかもしれません。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

- 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません
- ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
- 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
- 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
- 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
- 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。
- 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。
コラム&レポート Pick Up
相場見通し

投資アイディア

プロの見方

