中国の消費パワーを映す『独身の日』の活況
中国の消費パワーを映す『独身の日』の活況
中国では、毎年11月11日は数字の“1”が並ぶことから『独身(シングル)の日』(双11、ダブルイレブン)と呼ばれます。この日は、ネット通販を中心に大規模なセールやキャンペーンが行われます。年間で最も消費が旺盛になることから、その売上動向が注目されています。米中貿易摩擦の影響により、景気減速懸念のある中国ですが、今年も『独身の日』は盛大に行われ、中国の消費のパワーを感じさせるものとなりました。 |
【ポイント1】ネット通販大手の『独身の日』の売上高は今年も過去最高を更新
大手2社で、昨年のブラックフライデーとサイバーマンデーの約5倍を売り上げる
■中国ネット通販最大手のアリババグループは、『独身の日』の1日だけで取引額が過去最高の前年比+26.9%の約2,135億元(約3.5兆円)を記録しました。また、ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)のセール期間中の取引額は同+25.7%の約1,598億元(約2.6兆円)と、こちらも過去最高を更新しました。
■小売のイベントというと、米国では感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日は「ブラックフライデー」と呼ばれ、大規模なセールが始まります。また直後の週末には多くの人が実店舗で下見をして、週明け月曜日はネット通販が活況となることから「サイバーマンデー」と呼ばれます。米国では、この「ブラックフライデー」と「サイバーマンデー」が年間で最も売上げが見込める日として注目されていますが、今年の『独身の日』の中国ネット通販大手2社の売上高は、2017年の「ブラックフライデー」と「サイバーマンデー」の売上高合計の約4.6倍にもなりました。
【ポイント2】今年のキーワードは「新小売」
オンライン店舗とリアル店舗のセール連動で相乗効果
■今年の『独身の日』は、ネット通販事業者が「新小売(ニューリテール)」をキーワードに打ち出していました。「新小売」はオンライン店舗とリアル店舗の融合によるイノベーションとして、アリババグループの馬雲社長が2016年に提唱したものです。そして「新小売」が提唱されて以降、アリババだけに限らず、その他のネット大手企業もリアル店舗の運営に乗り出しました。
■例えば、アリババグループは通販サイトの天猫(Tモール)だけでなく、傘下のスーパーや出前アプリ、出資しているリアル店舗など、グループを挙げて一斉にセールを実施しました。その他のネット通販事業者も、オンライン店舗とリアル店舗との連動による相乗効果により、売上げを伸ばしたと見られます。
【今後の展開】『独身の日』は中国にとどまらず、世界的なイベントへ
■アリババグループは今年の『独身の日』に傘下の東南アジアでネット通販を運営するラザダの取引額も計上しました。また海外からの取り寄せも拡大しており、日本企業も恩恵を受けていると考えられます。こうした国を超えた取引(越境EC)の拡大により、『独身の日』は中国にとどまらない世界的なイベントになっていくと期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2018年11月14日)
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