インドの経済・市場動向(2018年11月前半)インド株は反発、政府と中銀の対立に注意
インドの経済・市場動向(2018年11月前半)
【ポイント1】株価は地合い好転で反発
原油価格下落やルピーの戻りも追い風
■米長期金利上昇を契機とした10月の世界同時株安を経て、世界の株式市場が米中貿易摩擦の緩和期待などから反発するなか、インドの株式市場も上昇に転じました。主要株式指数のSENSEXは10月26日に約7カ月ぶりの安値を付けた後、相場の地合い好転で11月7日には10月初以来の高値水準に戻しました。原油価格が足元で大きく下落していることや、為替市場でインドルピーが対米ドルで戻り歩調にあるなど、株式市場を巡る環境が改善していることも追い風となりました。
【ポイント2】インド政府と中央銀行が対立
■一方、金融市場に新たな懸念材料が出てきました。信用不安の起きたノンバンクへの対応を巡り、インド政府と中央銀行が激しく対立していることです。政府が中銀に流動性を高める指示を出したことで、中銀は独立性が損なわれると強く反発しました。インドでは厳密には政府からの中銀の独立性が保障されておらず、政府は総裁、副総裁などの重要メンバーを解任することが法律上可能です。政府サイドも中銀を批判するなど関係は悪化しており、パテル中銀総裁の辞任観測まで浮上しています。
【今後の展開】政府と中銀の関係が注目される
■中銀は通貨防衛を優先し、既に引き締め気味の金融政策に転換している一方、年内に議会選挙、来年に総選挙を控えているモディ政権は金融緩和で景気を支えることを期待しているとみられることも、対立を激化させる可能性があります。仮に政府の都合で金融政策が影響を受けると、金融市場のリスクプレミアムが上昇し、市場のマイナス要因となりやすいため、政府と中銀の関係悪化には注意が必要です。
(2018年11月 8日)
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